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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/02/15:17

Overture-はいすくーるろけんろー②

「ヒカル、今日部活?」
 
「おう。副部長が肉離れんなっちゃってさ、代わりに俺が試合出るかもしんねぇんだ」
 
「マジかよ!俺ら、観に行くよ!」
 
「まだわかんねーけどな。時間あったら是非観に来てくれよ」
 
「絶対行く!末町の総合体育館だっけ?」
 
「アカ、あれ作ってよ。応援グッズ」
 
応援グッズ??団扇とか、か?お安い御用だ
ヒカルくんの名前を真ん中にでかく入れよう
“光”って漢字でも良いし、“HIKARU”にしてもカッコ良さそうだ
赤と黄色で派手派手にして、ギンギラのモールで飾り付けして‥‥
 
「ああ、うん。良いよ」
 
「‥‥ほんとに作る気か?」
 
「え?」
 
「え??」
 
「‥‥‥‥‥‥」
 
「‥‥‥‥そんならさ、マスクのデザインしてくれよ」
 
「うん。良いよ。どんなのが良い?」
 
「え?」
 
「え??」
 
「‥‥‥‥‥‥」
 
「‥‥‥‥ぶはっ!!そんな真剣なカオしちゃってさ!マジで頼んじゃうぞっ!」
 
ヒカルくんが肩パンしてきた
重い一発だった
今まで何回か喧嘩をしてきたけど、ヒカルくんが本気を出したら多分俺らは勝てないと思う
格闘技をやってる人のパワーとガキの喧嘩の違いはそこなんだろう
 
「ヒカル、部活頑張れよ」
 
「応!!じゃあな!」
 
ヒカルくんは、ニコニコ笑顔で部室へと駆けてった
 
 
 
俺らはというと、この日は揃って部活がない日だった
というわけで、イナのホムセン巡りに付き合う予定だった
 
トキの下駄箱の中に、手紙が入ってた
トキはラブレターかなってワクワクしながら手紙を開いたんだけど、全部読み終わる前に汚物を摘まむようにして俺らに見せて寄越した
手紙には、
 
“放課後、体育館裏で待つ。来なきゃ殺す”
 
と書かれていた
トキはがっくりと肩を落とした
絶対女子が書いたんじゃない、汚い字
この手紙を書いたのが誰なのかは、大方の予想がついた
 
どうせ暇だし、殺されちゃ敵わんなということで、俺らは体育館裏に行った
そこで待ってたのは、案の定“あの人達”だった
 
「───あ!継さん、こいつらすよ!」
 
「んあー?」
 
“ツグル”という名前の人を囲む、オニーサン達
わかっちゃいたけど、やっぱりあんたらだったのね
この人達にだったら120%殺されたりしない、それがわかっただけでももううんざりして引き返したくなった
オニーサン達の目的は、この“ツグル”という人に俺らをどうにかしてもらおうってことなんだろう
恐らくこの人も3年生の筈だ、同学年の人に敬語を使ってるってことは多分強い人なんだろう
“ツグル”と呼ばれた人は、面倒臭そうに頭を掻きながら立ち上がった
 
背はヒカルくんと同じくらいかな
顔も女の子に間違われてもおかしくないくらい、小柄で可愛らしい人だった
でも髪の色はイナよりももっと明るい茶色‥‥っていうより金だ、ド金髪だ
そこはかとなく、不良っぽい雰囲気が漂ってた
 
「よー、生きの良い1年が入学してきたって聞いてさ。なんか、2年くらい前にこいつらボコボコにしたんだって?」
 
“ツグル”って人は、少し眠そうな目をして俺らを見た‥‥‥‥いや、あれは多分眠いんじゃない───俺らを“値踏み”してる
 
トキにもそれがわかったのか、俺らの前に一歩出て“ツグル”って人に歩み寄った
 
「しました。‥‥でも、ちゃんと理由があるんすよ。聞いてくれますか?」
 
「うん。聞くよ。何?」
 
トキは、毅然とした態度で話し始めた
 
「こいつ、アカっていうんですけど、絵を描くのが好きなんです。俺らよくこいつのスケッチについて歩ってんすけど、2年前もそうだったんす。のんびり絵を描いてたら、突然この人達にカツアゲされそうになって、挙げ句この人達がこいつのノートビリビリに破り捨てたもんだから、頭にキて喧嘩しちゃいました」
 
“ツグル”って人は俺らの顔を一瞥してから、ニヤーっと笑った
 
「ふーん。‥‥‥‥なんか、お前らの話と全然違うなぁ。こいつらはさ、お前らにカツアゲされかけたって言ってたんだよ。どうなってんだ?どっちが本当の話?」
 
オニーサン達は、ぶるぶる震え出した
喧嘩の強い先輩を連れてきたら俺らが大人しくなるとでも思ったのかな?
てか、オニーサン達、嘘吐くなよ
 
「‥‥俺らは、カツアゲなんてダサいことしません」
 
ムカついたから本音を言ってやったら、トキとイナは軽く噴き出した
“ツグル”って人は、真っ直ぐ俺の目を見つめてきた
 
「‥‥‥‥‥‥。だよな。ダセェよな、カツアゲとか。しかも、年下の奴等に」
 
“ツグル”って人は、ニコっと笑った
男の人に対して失礼な表現かもしんないけど、なんか、この人は笑うとすごく可愛かった
そんで、俺らに軽く頭を下げてきた
 
「はー‥‥‥‥わざわざ時間取らして悪かったな」
 
「いえ。誤解は解けましたかね?」
 
イナが言うと、“ツグル”って人はこくんと頷いた
 
「誤解も何も、お前らの言うことの方が真実味あるし。すげぇヤられ方だったけど、粗削りな感じがした。恐らく喧嘩もろくに知らねぇ奴が無茶苦茶ヤったんだろうなと思ったよ」
 
この人、エライ観察眼だ
そう、俺らの喧嘩デヴューは我武者羅でしっちゃかめっちゃかだった
 
「‥‥お前ら、名前は?」
 
「常磐です。常磐 響。こいつは高村 朱央。そっちは」
 
「印南 京平です」
 
トキが言う前に、イナは自ら名乗った
 
「そ、っか。俺は、蓬立 継。‥‥こいつらに限らず、誰かに因縁つけられそうになったらいつでも言いな」
 
ホウタツ、って、どんな字書くのかな?変わった苗字だ
継さんは軽く手を振ると、そのまま何処かに行こうとした
 
「あ、あの‥‥継さん‥」
 
「こいつら、俺らを‥‥」
 
「お前らさぁ、高3にもなってみっともねぇと思わねぇのか?こいつらにヤられたことまだ根に持ってんのかよ?高村、だっけ?こいつの言う通り、やってることがダセェんだよ。いつまでもグダグダと、ケツの穴の小せぇ奴等だなぁ」
 
しどろもどろになってるオニーサン達を一瞥した継さん
笑ってるように見えたけど、目が笑ってなかった
オニーサン達は、継さんの眼光に相当ビビってた
可愛らしいし、上背もないけど、そんなに強いのかこの人は
ちょっとだけ、継さんの喧嘩を見てみたくなった
 
「大体俺はお前らの用心棒じゃねぇんだよ。てめぇのケツくらいてめぇで拭きな。こんな話、“千歳”が聞いたら百叩き程度じゃ済まねぇぞ。あいつはお前らみてぇな女々しい野郎が大っっっ嫌いだからな」
 
オニーサン達は、“千歳”と聞くと更に戦いた
 
後でわかったことだけど、“千歳”って人と継さんは他校の生徒からも恐れられてる札付きの不良で、この学校のナンバー1とナンバー2だった
だからって別に、この人達の強さを笠に着ようなんて“ダサい”ことをするつもりは無かった
 
「‥‥あ、そうだ。これやるよ。今日のお詫び」
 
継さんはポケットからチョコレートを出して、俺らにくれた
長時間ポケットに仕舞いっぱなしだったのか、ちょっと溶けかけてた
 
「あ、有難うございます‥」
 
「ん。んじゃ、またな」
 
震えるオニーサン達を残して、継さんは去っていった
オニーサン達の用事もなくなったことだし、俺らもホムセンに行くことにした
 
少なくとも、継さんは、オニーサン達が恐れるような人じゃないんじゃないかなって、そう思った
俺らの話を信じてくれたし、チョコもくれたし、きっと良い人だ
チョコが好きな人に、悪い人はいないんだぜ!

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