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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/02/16:24

Overture-はいすくーるろけんろー①

無事、高校に進学した俺達
学力レベルの幅が広くて校風も自由、天才も秀才もバカもアホもゴッチャゴチャに入り乱れたなんかよくわかんない高校
それが俺達の進学先、浦南(うらなん)高校だった
 
校風が自由ってこともあって、トキはずっと憧れだったらしいピアスを開けた
イナは、元々染めてた茶髪を更に明るくして、序でに腰からウォレットチェーンを提げた
俺はダサダサの髪型からふわふわのウルフヘアーにして、スモーキーアッシュに染めた
制服はちょこっとだけデザインが加えられた学ランで、女子はとっても可愛いセーラー服
今までずっとブレザーに見慣れてたから、セーラーが眩しくて新鮮に見えた
 
もしかしたら、彼女の一人くらい出来たりするのかな
放課後の教室でお喋りしたり、帰りに手を繋いで帰宅したり映画とか海とか行ったり……なんて素敵な高校生活だろう!
 
彼女が出来るかもしれない期待もあったけど、部活への思いも同じくらいに膨らんでた
高校生になったら、美術部に入ろうって決めてた
油絵とかやるのかな、デッサンもクロッキーも楽しみで堪らない
 
浦南には、トキのお目当ての写真部もあった
新年生歓迎集会とかいう行事で上級生達がやった部活動紹介だと、美術部も写真部も週3のペースでやってるらしい
土日は自主活動だし皆で遊ぶ時間も無理なくとれそうだし、俺らは迷わず入部を決めた
 
イナは、やっぱり部活はやらないみたい
だけど、中3の後期から春休みの間に3コ上のお兄さんの影響で漫画少年から工具マニアへと変貌を遂げていた
腰のウォレットチェーンに日替わりで工具をぶら下げて歩くほどの工具バカになってしまった
因みに、自室の壁には見たこともない工具が沢山飾られてある
きっと明日には、別の工具が腰からぶら下がってる
放課後は俺のスケッチとトキの撮影に、イナの工具屋とかホムセン巡りに付き合う時間が加わった
 
 
 
入学から2週間経った
クラスは離れちゃったけど、俺らは休み時間に集まって下らない話をしてた
昼も毎日一緒に食べてるし、今日もその予定だ
連れだって学食の方に向かって歩いてたら、見覚えのある人達とすれ違った
 
「‥あ!!!お前ら!!!」
 
向こうも気付いたみたい
河川敷で俺らがボコボコにした、あのオニーサン達だった
 
「あれ、ここの生徒だったんだ。こんちはー」
 
「その節はどうもー」
 
トキとイナは、気さくに手を振った
 
「何でここにいんだよ!?」
 
「何でって‥‥俺ら、一年すよ」
 
「ここに進学したってのか‥!?」
 
「そうすよ。っていうかバカだからここにしか進学出来なかったんすよ」
 
「Iランクでも奇跡的に入れたんですよねー、ふふふ」
 
因みに俺はEランク
ろくに勉強してなかった2人よりはちょっと上って感じ
っていうか、フツーに勉強してればIランクなんて、そこまで落ちることの方が難しいから
 
「てか、今3年生?2コ上だったんすね」
 
襟に、学年証の“Ⅲ”のピンが留まってる
じゃあ、河川敷で喧嘩したときは高1だったんだ
てか何でカツアゲしようとしたんだろな、俺らなら上手くいくと思ったのかな?
それとも、ひょっとして高校デヴューのつもりだったのかな?ちょっとくらい意気がってみようか、みたいな?
 
「一年間被ってることだし、宜しくお願いします」
 
イナは、腰から提げてるレンチをくるくる回しながらニコニコ笑った
 
「だっ、誰がお前らなんかと宜しくするかっ!!!」
 
オニーサン達は青い顔でそそくさと去っていった
別に、イナは“レンチで殴ろう”とかそんなこと少しも思っちゃいないのに
てか、お洒落のつもりかもしんないけどジャラジャラ五月蝿いんだよな
 
そんなら俺も油絵の具用のナイフでも持ち歩こうかな、なーんてね
 
 
 
学食で飯食ってたら、声を掛けられた
 
「なーなー、あんたら1年だよな?」
 
「ん?ああ、そうだよ」
 
トキはカレーを頬張りながら生返事をした
 
話しかけてきた人は、背は小さめだけどガタイがすごく良かった
髪はツンツンのキンパで、ギラギラのつり目がカッコイイ感じ
首からネックレスをぶら下げて、学ランの中に着てる赤いTシャツが印象的だった
 
「いや、さっき3年の先輩達と仲良さそうに喋ってたからさ。あの人達結構“やんちゃ”らしいんだけど、あんたらも喧嘩とかすんの?」
 
「いや。あの人達とは2回くらい拳を交えたけど、俺らは基本的に自分からはやんないよー」
 
イナも、生卵が乗った牛丼を頬張りながら答えた
 
そう、中学時代から始めた喧嘩は全部、自分達から進んでやることはなかった
大体が売られた喧嘩を買って、報復に来た奴等は返り討ちに、負けたら負けたでそのまんまにしておいてた
 
「っつーかさ、“やんちゃ”の“や”の字も感じないほど弱かったよな、あの人達」
 
「そーだねー。もう2年前かぁ、懐かしいなぁ」
 
「え、じゃあ‥‥“浦南の生徒相手に連勝した中坊3人組”って、あんたらのこと?」
 
何ですと?何時の間にそんな話広まっちゃってんの?
彼の話を聞いた他の生徒の方々が、ちらちらこっちを見てくる
食堂が、次第にザワザワとし始めた
え、何?俺ら、ってか、“浦南の生徒相手に連勝した中坊3人組”って、そんなに有名人だったの?
 
「んー、他にそういう3人組が居ないんだったら、そうかもしんないね」
 
「マジかよ!すげぇじゃん!!」
 
「別に大したことないよ。あの先輩達が激弱だっただけで」
 
「でもさ、倍の人数いたんだろ?それで連勝?フツーにすげぇじゃんか!」
 
「てかさ、何でその話知ってるの?」
 
そう、そこ
俺がいちばん知りたかったとこね
イナ、ナイス質問
 
「もしかして、あんたも3年?」
 
「いんや、俺は1年。“噂の中坊”のことは先輩に聞いたんだ。俺プロレス部なんだけど、先輩達もやんちゃなの多いからそういう人達の話は逐一耳に入ってくんだよね」
 
なるほど、そういうことね
この人プロレスやってるんだ‥‥てか、この学校にプロレス部なんてあったんだ
 
「俺、“栄 光”ってんだ。気安く“ヒカル”って呼んでくれ」
 
「写真部所属の常磐 響でっす。“トキ”で良いよ」
 
「俺は印南 京平。帰宅部です。“イナ”って呼んで」
 
トキもイナも、ヒカルくんに自己紹介した
2人に遅れて、俺もヒカルくんに挨拶した
 
「‥‥高村 朱央。“アカ”って呼ばれてる。‥部活は、美術部」
 
「ん!ヨロシクな!」
 
ヒカルくんは、白いギザギザの歯を見せてニコっと笑った
 
サカイ、ヒカル───後でわかったことだけど、漢字で書くと“栄光”‥‥俺の“シュオウ”なんかより遥かにカッコイイじゃんか
 
高校に入って、初めて出来た友達
実はヒカルくんもかなり“やんちゃ”だってわかったのは、まだもう少し後になってからだった

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