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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/03/07:19

163 träningsläger-Slutligen ikväll

地下では、ユイを除く3人が楽器を鳴らしていた
地上にいるユイにも熱と震動がドカドカ伝わるほど、激しい楽曲を演奏しているよう
耳を欹てると、演奏し慣れたバンドのレパートリーの一つが聴こえてくる

各メロによってビートが変わるその楽曲は、アタルが幾つかの曲を一つに纏めたハードロック色の濃いナンバー
ドラムは終始乱れ撃ち
ギターとベースのユニゾンが何度も入り混ざり、ソロではドリルのように突き抜ける16分刻みのベースとトレモロピッキングが疾走していく
かと思えば哀愁漂うセクションもあり、緩急のバランス配分が絶妙かつ大胆にハマっている
最後の夜に“総攻撃”をぶちかます、お気に入りのバンドのレパートリーナンバー
ユイの口内に、キツめの炭酸水のような味がぶわ、と広がった

 

「───ね!カップ麺食べよ!!」

熱気で溢れる地下室に、ユイの陽気な声が響いた

「あー‥‥‥そういやまだ、食べてなかった、もんね‥‥」

「はー‥‥ああ、食いに、行くか。折角、買ったしな」

3人は、息も絶え絶え
膝をついたり天井を仰いだり、額からは汗が滴る
言葉を繋ぐのも精一杯で、昂りが治まるのを暫し待った
逆に、3人の熱の余韻を浴びたユイの鼓動は加速していった
作詞は無事に終えたが、“この場”に居られなかったことを心底口惜しく思った

 

カップラーメン用の湯が沸くまで、四人は拓真の提案で記念写真を一枚撮ることにした
リビングのソファにユイが座し、後ろに菱和とアタルが並ぶ

「この辺が良いかな」

「あっちゃん、ちょい背縮めて。上手く入らない」

「んなもん無理に決まってんだろ!屈めば入るか?」

「あー、良いね。じゃ、撮るよー」

拓真はデジカメをカウンターにセットすると、急いでユイの横に座った
シャッター音が鳴ると、わくわくしながら出来を確認する
ユイは顔の横でピース
拓真は親指を立ててグーサイン
菱和は特にポーズはとらずベロを出しているのみ
アタルは菱和の肩に腕を回してメロイックサイン
菱和がバンドに加入してから初めて撮影された集合写真
ユイは暫しデジカメに写る写真を眺め、慶びの笑みを浮かべていた

 

時刻は深夜1:00を回った
普段は使わない頭を酷使したユイと、楽器を弾き倒した後の3人はすっかり小腹が空いていた
ガッツリいきたいわけではないが、何か腹に入れたい気分───深夜のカップラーメンは手軽でいて、どこか背徳的な魅力が満載だ
買い出しの際に拓真と菱和が購入したラインナップはオーソドックスな味が二つと激辛、そして“シークレット”
パッケージの時点で誰もシークレットには食い付かず、拓真は阿弥陀籤を作った
誰がどの味を食すかは、神のみぞ知る───犠牲になったのは、アタルだった

「誰だよこんなもん選んだのは!!!」

「‥俺です。安かったんで」

「てめえぇ‥‥」

「すいません」

「うひひ、伸びちゃうから早く食べよ!うわ、拓真の超辛そう!真っ赤っか!」

「すげぇ色だな」

「明日の朝が怖いなぁ‥‥辛いのは好きだけど。んじゃ、頂きまーす」

「くそおぉ‥‥‥そっちのが何倍もマシだぜ‥‥何だよチョコって‥不味そう‥‥」

“シークレット”は、バレンタイン時期に発売されたチョコレート味の焼きそばだった
激辛が当たった拓真は、額に汗を滲ませながら食す
文字通り“激辛”で、氷水をお供にしていても舌がバカになりそうな刺激
オーソドックスな味のユイと菱和は、悠々と麺を啜る
深夜のカップラーメンを大いに楽しんでいる3人を尻目に、一人意気消沈しているアタルもチョコレート味の焼きそばを漸く口に運んだ
咀嚼していくうちに、顔色が変わっていく

「───‥いや待て、これ意外と美味いかも」

「っマジかよ!そんなこと云われたらどんなか気になる!ちょっとちょーだい!」

ユイが焼きそばを摘まみ出すと、興味を引かれた拓真と菱和も一口

「‥ほんとだ、想像してた味と全然違う!意外とイケるかもね!」

「だろー!?」

「あー、俺舌麻痺してるから全然味わかんないや。ひっしー、どぉ?」

「‥ごめ。無理」

「あらら‥‥駄目だった?」

「選んだ本人がそんなこと云ってたら本末転倒じゃねぇか、くそぉ」

「アズに当たらなくてちょうど良かったね!」

籤運に助けられた菱和は、“シークレット”が当たらずに済み、心底安堵した
小腹が満たされた四人は名残惜しげに最後の夜を堪能し、就寝の準備を始めた

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