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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/08/12:12

2 再会

「改めまして‥‥俵 翔太です。宜しくね」

「“タワラ”って、変わった苗字だね!俺、石川 唯!みんな“ユイ”って呼ぶから!」

「“ユイ”」

「ん!しかしさぁ、すっげぇ偶然だよね!こんな形でまた会えるなんて!」

「ほんとだね、俺もびっくりしてる。ってかさ、流石、バンドやってるだけあってよく通る声してんね」

「いやぁ、それほどでも!」

ホームルームの終わりと共に全校生徒が体育館にて行われる始業式に参加し、再び教室に戻ると休み時間に入る
ユイと翔太は、早速再会を喜んだ
他のクラスメイトもわらわらと集い、先程の大絶叫の謎が解き明かされることとなった

その後は委員決めや席替え等の時間に割り振られており、残りは自習という名の自由時間だった
ユイは再び翔太や他の同級生との雑談に耽り、そのまま下校の時間を迎えた
帰り支度をしながら、ユイが尋ねる

「翔太、どこに住んでんの?」

「日吉町だよ」

「そっかー、うちとは逆方向だなー。日吉ってことは、バス通?」

「うん。ユイは?」

「チャリ。雪降ったらバス」

「なるほど。‥‥今度さ、時間あるときどっか遊び連れてってくんない?まだどの辺に何があるか全然わかんなくてさ」

「うん!良いよ、行こう!‥てか、部活は?やんないの?」

「やらないかなぁ。今入部しても、すぐ引退になるでしょ」

「ああ、そっか」

「ユイは?バンドやってるから軽音部?」

「‥惜しい!“バンドやってるから”、帰宅部!」

「あああー、そっちだったかー」

早くも打ち解ける二人
互いのキャラクターがマッチしているようだ
一昨日の出会いから僅か一日足らずの再会は、正に“運命”と云っても過言ではないのかもしれない
翔太がそう云ったように、ユイもそう感じていた

 

「ユイー、帰ろー」

和気藹々と話をしていると、拓真が教室の外から顔を覗かせユイを呼び掛けた
拓真の横には、上田も居た

「今行くー!‥ね、翔太!ちょっと来て!」

翔太は、鞄を抱えて拓真たちの下へ向かうユイの後を着いていった

「えっと、拓真と上田!転校生の、翔太だよ!」

ユイは即座に翔太を紹介する
途端に、翔太の目が輝き出した

「‥!Hazeのドラマー‥!と、SCAPE GOATのメンバー!?同じ学校なの!!?」

「え、俺らのこと知ってんの?」

「知ってるも何も、俺マンスリーめっちゃ観に行ってるから!HazeもSCAPE GOATも推しバンド!うひゃー、超感激!俵 翔太です、宜しく!」

興奮度マックスの翔太は、2人に握手を求めた

「それはそれは‥‥どうも有難う。俵くん、だよね。3組の佐伯です」

「4組の上田くんでーす。噂の転校生でしょ?もう仲良くなっちゃったの、ユイってば」

拓真と上田は気さくに挨拶し、それぞれ翔太と手を握り合った

「でね、実は俺らさ、今日が初対面じゃないんだ!」

「え、そうなの?」

「一昨日のマンスリーで、ね。トイレのとこでまたまた会ったんだ」

「うわお、すげぇ偶然じゃん。一昨日会ったばっかのカレが、まさかの転校生だったの?」

「そうそう!また会えるかなーなんて喋ったばっかりなんだよ!一昨日は名前まで聞いてなかったから、翔太が教室入ってきたとき思わず叫んじゃった!」

「‥‥やっぱりホームルームのときの大絶叫はお前だったのか」

「え、聴こえてた‥?や、あんまりびっくりしたもんだからさ、つい叫んじゃって‥‥」

「ユーイ。いちばんびっくりしたのは翔太くんなんじゃないのー?」

「まぁ‥‥思いっきり指差されたし、一瞬時間止まったよね」

「ああ‥ほんとごめん‥‥」

「ううん。俺のこと覚えてくれてて、すっげぇ嬉しかったよ」

にこりと笑む翔太
指を差されたことで気分を害したどころか、自分がユイの印象に残っていた感動の方が勝っていたようだ
そんな翔太の第一印象は、拓真と上田にとっても“良い”と思えるものだった

 

「───てか、上田。アズは?」

「ん?そういや俺が教室出てくるときにはもう居なかったような。トイレじゃね?」

「あ、そう‥‥‥あんね翔太、上田と同じクラスにもう一人バンドメンバーが居るんだ」

「‥ベースの人?」

「うん、そう」

「あの人もここの学校だったんだ、てっきり赤い髪の人くらいの年だと思ってた」

「ふひひ。見た目老けてるからなぁ、菱和は」

「聞ーいちゃった、聞いちゃったー。ひっしーに、云ってやろー」

「あっ、たっくん、ダメっ!」

「折角だから、アズのことも紹介したいなぁ‥‥」

「終わったらここ通るんじゃない?ちょっと待ってようか。俵くん、時間大丈夫?」

「うん。全然平気」

「じゃあ、菱和が来るまで親睦深めてようぜ。なぁなぁ、翔太はさー‥‥‥」

上田はもう翔太を呼び捨てにしている
四人は暫し談笑し、菱和が訪れるのを待ったが、一向に現れる気配はなかった

用を足すにしては些か時間が掛かりすぎている
既に下校している可能性の方が高いかもしれない───そう思った矢先、ユイの携帯にメールが届いた
送り主は菱和で、画面には「先帰る」とだけ記載されていた

「‥アズ、先帰っちゃったみたい」

「なんだ。トイレじゃなかったのか」

「んじゃま、ひっしーの紹介はまたの機会にってことで」

「そー、だ、ね‥‥」

ユイは少し肩を落とし、溜め息を吐いた

「‥なんか用事あったのかもよ。俺らも帰りましょ」

拓真はフォローしつつ、ユイの背中を軽く叩いた

「‥‥うん。‥翔太、そのうち紹介するから。うちのベーシスト」

「有難う。楽しみにしてる」

「じゃ、行こうぜー」

4人は揃って玄関まで行き、それぞれの手段で帰宅の途に着いた

 

***

 

拓真の云う通り、用事があったのかもしれない
もしかしたら、急に体調を崩してしまったのかもしれない
色々と憶測をしてみてもただヤキモキするだけ
帰宅後、何も云わずに帰宅してしまった菱和の行動が気になったユイは「具合はどうか」という内容のメールを送った
程無くして、着信音が鳴る
すぐに返信が来たことに一先ず安堵し、メール画面を開いた

『元気だよ。どうした?』

そこから、暫しやり取りが続いた

「明日、一緒に帰れる??」

『うん。一緒に帰ろ』

「掃除終わったら4組行くね(^^)」

『どこ掃除?』

「教室♪」

『じゃあ俺が行くよ。多分時間かかるから』

「どこ掃除??」

『旧校舎の階段』

「そんなとこ掃除するんだね、知らなかった(^^;」

『俺も初めて知った。だから、待ってて』

「わかった、待ってる(*^^*)あのさ、今日、なんか用事あった?先に帰っちゃったから、気になってたんだ」

『野暮用。言うのすっかり忘れてた。あとちょっと急ぎだったから。ごめん』

「そっか良かった(*´-`)具合悪くなったのかなってちょっと心配だった、何でもないなら良かった(*^^*)」

『心配かけた?』

「ちょっとだよ、ちょっと心配になっただけ(^^;」

『そっか。ありがとう。あとで梅サイダー奢る』

「(*≧∀≦*)ラッキー★☆★」

『スタジオ終わったら、うち来るよな?』

「行きたい!行く!」

『じゃあ、晩飯何食うか佐伯と一緒に考えといて』

「うん(´∀`)b 決まったらまた連絡するね♪」

 

野暮用があったことを伝え忘れていただけ、体調を崩したわけでもないよう
夕方にはバンドの練習があり、数時間後には否でも応でもsilvitで菱和に会える───それまで、自宅でギターを弾きながらのんびり過ごした

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