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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/07/21:30

1 NYSTART!

新学期前日───

昨年同様、クラス発表を見に学校へと赴くユイたち
拓真とリサは勿論、今年は菱和、上田、更にカナも加わっている
単純に、昨年の倍の人数である

待ち合わせをした学校近くのコンビニに全員が集まり、特に購入するものがあるわけでもなしに店内を物色しつつ暖をとる
恐らく同様の魂胆であろう学生がちらほら
店内の温みを名残惜しく思いつつも、ユイたちは学校へと向かった

通い慣れた通学路を進むと、校門が見えてくる
校舎へ続く道則の傍らには、開花を待ち侘びる桜や木蓮の木々
冬と春の匂いが混ざる、4月の前半

風はまだ冷たいが、“いつものメンバー”に囲まれている所為か心は暖かい───

ユイも、校内に植えられた木々のように新学期を待ち遠しく感じた

 

校舎へ入り、ある一室にてプリントを受け取る
各自、新学期にあたっての注意事項と、自分の氏名が記載されているクラスを確認した

高校二年時点で行われた文理選択の結果、ユイ以外の面々は文理系クラスに、ユイは文系クラスに配置されていた
早速、その話題で賑わう

「ユイは、2組か」

「うん!文系は1組か2組のどっちかしかないもんね!二分の一!」

「え、ユイ文系にしたん?」

「うん、だって数学超苦手だし!進学のことも全然考えてなかったからさ、別に良いんだ!てか、俺以外みんな文理系?」

「そー‥‥みたい、だな」

「文理って3組から5組までだっけ。‥‥あ。カナちゃん、俺らまた同じクラスみたい。3組だ。宜しくね」

「‥ぁ、ほんと!こちらこそ、宜しく!ユイくん、隣のクラスだね!」

「ししし、教科書借りに行くわ!」

「こらこら。忘れる前提でいるなっつの」

「菱和、“運命の再会”だなっ!俺ら4組だってよ!」

「‥‥ああ」

「あっ、何だよもっと嬉しそうな顔しろよなっ!!‥‥‥近藤サンも、宜しくね」

「‥‥うん、宜しく」

「樹。リサに変なことしたらあんたの命無いからね」

「まだ何もしてねぇじゃんっ、てかするつもりもないし!」

「ま、ひっしーもいるから大丈夫なんじゃない?」

「菱和くん。樹のこと、見張っててね」

「任せろ」

「んだよ、おっかねーなぁ‥‥一年以来の“おなクラ”だってのによー‥‥」

「ふふ‥うん‥‥“今度”は、仲良くしてください」

「‥んふっ、当然っしょ!!」

 

かくして、上田は一年振りに、リサは2年連続で菱和と同じクラスになった
そして、拓真とカナが再び同じクラスという配置だった

時刻は正午前
学校を後にした6人は、連れ立ってファミレスへと向かった
大皿の料理を皆でシェアし、デザートまで堪能した
昼食を摂ると今度は街へ繰り出し、雑貨屋やゲーセンなどを渡り歩いた
“おやつの時間”には、パナシェでクレープを食した
結局、6人は夕方過ぎまで遊び回った

 

こんな時間は、“お昼休み”以来

新学期が来ても、明日からもきっとこんな調子なんだろうな──────

全員が全員、そう思っていた

 

***

 

新学期

 

自転車通学のユイと拓真
バス通学のリサ、カナ、菱和、そして上田
皆学校に揃い踏み、まずは朝の挨拶を交わす
それぞれ鞄を置くと教室から出、ホールへと集う

「ね、明日から早速、お昼は屋上行く?」

「うーん、来週からで良いんじゃない?まだ寒いと思うよ」

「‥‥でも、早速屋上に行きそうな奴が約一名いらっしゃいますなぁ」

「へ?誰??」

「‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥、‥‥俺‥?」

「‥ぶはっっ!!何だよ今のリアクション!お前しかいないっしょ!!」

「え、ひっしー、明日からもう屋上?」

「‥‥の、つもりだったけど」

「じゃあ、俺もー!」

「多分、寒みぃぞ」

「アズが行くなら、俺も行く!パーカー着てれば大丈夫っしょ!」

「‥‥そ」

「なーんだよ、結局そうなるんか‥‥じゃ、俺もー。当然、たっくんもねー」

「俺は別に、どっちでも」

「たっくーん、キミには協調性ってものが無いのかね?」

「お前にだけは云われたくない」

談笑の途中、予鈴が鳴り響いた
「また後で」と軽く手を振り合った後、ユイたちは各自の教室に戻って行った

 

ユイの教室、3年2組
苗字が“い”から始まるユイの出席番号は2番で、席も前から2番目
着席すると、以前同じクラスだった同級生と席が近くである
暫し雑談していると、担任が入って来た
今年度の担任は、日本史を受け持つ40代半ばの男性教師だ

「早速なんだが、この春からこの学校に来た新しい仲間がいる。縁あって、このクラスで一緒に過ごすことになった」

担任の一言に、教室はざわめく
大半の生徒は「待ってました」という反応だったが、ユイは軽く首を捻る
そして、後ろの席の同級生に小声で尋ねた

「‥ね、転校生ってこと?何でみんな知ってんの?」

「プリントに名前書いてたよ。見たことない名前だったから転校生なんだろうなと思ってたけど」

「そー‥な、の?」

「見てないの?プリント」

「う、うん。あんまり‥‥」

「ぷっ‥‥流石は石川。でも、そいつの名前んとこに“転校生”って書かれてたわけじゃないからな」

ユイに親切に説明する同級生は、プリントをじっくり読んでいなければ転校生の存在などわからないであろうとフォローしつつ、くすくす笑った

「入って」

担任に促され、転校生が入ってくる

 

「───あああああ!!!!!」

ユイは突然席から立ち上がり大絶叫し、不躾にも転校生を指差した
教室全体がその声に驚き、一斉にユイに注目する
担任と転校生も含め、3年2組は数秒間、時が止まった

「‥石川‥‥どうした‥?」

「あ‥‥いや‥何でもないで、す‥‥‥」

ユイは担任からの呼び掛けに漸く我に帰り、赤面した後ゆっくりと着席した
次第に、くすくすと笑い声が聴こえてきた
担任は咳払いを一つし、仕切り直す

「えーと‥‥じゃあ、自己紹介して」

「‥はい。初めまして、俵 翔太です。この街に引っ越してきたばかりなんで、色々教えて欲しいです。宜しくお願いします」

にこやかに自己紹介をした転校生が軽く会釈すると、今度は拍手が響く

 

『───どうせまたすぐ会えるよ』

 

───‥‥びっくりした。“こんなこと”って、あるんだな

そろりと顔を上げ、転校生を見遣る

見間違いではない

一昨日のマンスリーライヴで意気投合した少年の姿が、そこにあった

 

翔太はユイの視線に気付くとにこりと笑み、腰の位置で小さく手を振った
やはり、同一人物だ

「‥‥知らなかったんじゃなかったの?」

「‥‥、知らなかったよ」

「じゃあ何なの、今のリアクションは?」

「‥‥あとで説明する」

後ろの席の同級生に肩をつつかれながら尋ねられるも、未だ驚愕に支配されているユイはそう云い放つのが精一杯だった
にこやかに笑む翔太に、おずおずと手を振り返した

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