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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/02/15:55

Overture-Pleiades

いつもつるむメンバーに、アオが加わった
トキ、イナ、ヒカルくん、アオ、俺、時々すばる
大体この5乃至6人で、休み時間や放課後を一緒に過ごした
 
紅一点のすばる
別に女子の友達がいない訳じゃないのに、何で女子じゃなくて俺らとつるんでんのかわかんなかった
そういやすばるの苗字も変わってんだ、雨の間って書いて“うるま”って読む
すばる は平仮名だから、最初にフルネーム聞いたときはギャップを感じた
トキは風景の写真を撮ることが多いけど、すばるは人物を沢山撮っていた
俺らも盗み撮りされてたことが何回かあって、あろうことかそれが学祭に展示されたんだけど、思いの外評価が高かった
 
 
 
何時だったかの放課後、遅くまで遊び歩いてた俺ら
その日はすばるは居なくて、男5人で繁華街を彷徨いてた
 
たまたま、路地裏で誰かが絡まれてるのを目撃した
暗くてよく見えなかったけど、多分隣街の錦西(きんせい)高校の制服だ
そいつが6人くらいで、一人を取り囲んでた
 
「おいおい、喧嘩かな」
 
「あーあー、可哀想に」
 
ただのカツアゲかと思って素通りしようとしたけど、トキとヒカルくんがあることに気付いた
 
「‥おい。女子だぞ」
 
「‥‥マジだ。セーラー着てる」
 
「行こう」
 
2人の目がキラキラした瞬間だった
 
「ん?あれって‥‥‥‥」
 
よくよく見てみたら、そのコが着てるセーラーにものっそい見覚えがあった
だってうちの学校のセーラーだったんだもん、当然だよね
そして、錦西の奴等に囲まれてたのはなんと、すばるだった
 
それがわかった途端、トキは一目散に駆けてって飛び蹴りをした
 
騒然とする路地裏、錦西の奴等もきょとーんとしてた
 
「よ、すばる」
 
「‥トキ」
 
すばるも、目を丸くしてた
 
そっからは、トキとヒカルくんの独壇場だった
イナとアオと俺はすばるを救出して安全な場所に確保、錦西の奴等をフルボッコにするトキとヒカルくんを静観してるだけだった
結果、勝ちました
決め手はヒカルくんのシャイニングウィザードだった
 
「すばる、大丈夫か?」
 
「‥‥アンタこそ、大丈夫?ヒカルくんも‥」
 
「俺らは全っ然何ともない!へーきへーき!」
 
「へへへ‥‥無敵だから!」
 
そう云って、2人はドヤ顔をした
それでも傷を負ってたから、すばるが近くのコンビニまで2人を引き摺ってって軽く手当てをした
イナは序でにって、飲み物を6個買ってきて俺らに配ってくれた
『どれが良い?』とか訊いてきたけど全部コーラだった
 
「錦西も案外大したことねぇのなぁ」
 
「そりゃ良かった。もし万が一抗争とかあってもだいじょぶそうだな」
 
そんな機会は是非訪れないでくれ頼むから
学校同士の抗争?一体いつの時代の話ですか?
そんなの、漫画とか映画の中だけの話だと願いたい
 
「バッカじゃないの。男って、ほんとバカ。喧嘩の何が楽しいの?余計な心配かけんな、バーカ」
 
「───いってえええええぇぇぇ!!!」
 
すばるはトキの頬っぺたの傷をビンタした
あの絶叫からして、喧嘩して殴られた時よりもダメージがでかそうだった
 
 
 
翌日の放課後
今日も今日とて男5人で繁華街へ繰り出そうと玄関まで来たら、またトキの下駄箱に手紙が入ってた
まーたあのオニーサン達か?懲りないねぇ
学習能力ゼロどころかマイナス25くらいだよ、ほんとに2コ上なのかな?
 
「トキ、読まないの?」
 
「読むまでもねぇじゃん、こんなの。どうせまた“来なきゃ殺す”とか書いてあるに決まってる」
 
邪険そうに手紙を見つめるトキ
こう何回も続いたら拒否反応起こして当然だよな
例えマジもんのラブレターが入ってたとしても、下駄箱にただの紙が入ってるだけでトラウマになっちゃうんじゃないかな
試しに、今度やってみようかな
 
「もし、そうじゃなかったら?‥‥読まないと後悔するような内容だったら、どうする?」
 
アオが、トキを宥めるようにしてそう言った
トキは唇を尖らせて、アオの言葉にほんの少しだけ期待を抱いたようだ
 
「‥‥読んでみたら?」
 
俺が駄目押ししたら、トキは唇を尖らしたまま手紙を開いた
一瞬目がキラキラしたと思ったら、あっという間に光を失った
トキが無言で手紙を寄越してきたからイナが受け取って、俺らは肩を寄せ合って手紙を読んでみた
 
 
 
“放課後、屋上で待ってるから[V:9825]絶対においで[V:9825]”
 
 
 
“読まないと後悔するような内容”だったってのがわかったのは良いんだけど、問題はこの手紙を書いたのが誰かってこと
ご丁寧に、手紙の主は下の方に自分の名前を書いてあった
 
“蓬立 継 (3年3組)”、と
 
 
 
図らずも、継さんからのラブレター
オニーサン達が書いた“殺す”よりもこのハートマークの方が脅しにはよっぽど効果的だ
てか継さん、意外に字が達筆でびっくりした
ハートも駆使するし、見た目も中身も可愛いんだなあの人は
 
 
 
「継さん、何の用事だろうな‥‥」
 
「まさか、この前のセンパイ達のこと考え直したとか?」
 
「いや、それは無いだろ。あの人らは継さんの嫌いな人種でしょ」
 
「そーかもしんないけどさ‥」
 
「‥‥‥‥、愛の告白だったりして?」
 
イナが言った
皆、黙った
 
継さんが、本気でトキにラブレターを書いたって?
まさか、そんなバカな
だって、トキも継さんも男だし
 
ひょっとしたら継さん、男が好きなのかな?
可能性がないってことはないよな、別に
でも、あの人は男が好きっていうより寧ろ“男の娘”って感じなんだけどな‥‥ほんと、それくらい可愛いから
 
トキと継さん───『それはそれでアリかも』なんて、ちょっぴり思ってしまった
まぁでも、継さんは可愛らしい外見に寄らず男気溢れる人だから多分違う
てか“男の娘”なんて絶対継さんに言えないし想像してたことすら罪だ、バレたら500%荼毘に伏すことになる
 
一体、何の用事なんだろうな───?
 
 
 
屋上のドアを開け放つと、継さんが出迎えてくれた
 
「お、来たか」
 
ニコッと笑う継さん
やっぱ、この人は可愛らしい
 
「久し振り。暫く見ない間に随分賑やかになったな」
 
そうだ、初めて継さんに会ったときはまだヒカルくんともアオともつるんでなかった
継さんに軽く頭を下げてから、トキが尋ねた
 
「‥‥あの、何かご用でしょうか‥?」
 
「うん。あのね、」
 
継さんは唐突にトキの肩を抱いて、上目遣いでトキを見ながら耳元に顔を寄せた
 
 
 
あれ、まさか、ほんとに、てか、やっぱり“そっち”の話だったの?
 
 
 
「‥‥‥‥お前ら、夕べ錦西の奴等ボコったんだってな」
 
いや全然違ったよ、不良が大好きな喧嘩の話でしたイエーイ
継さん、トキ、変な期待して本当にごめんなさい
 
「あ、はい‥‥あの、部活が一緒の女の子が絡まれてたんで、つい‥‥」
 
トキは若干ビビりながら夕べの真実を語った
 
「何かマズかったですか‥‥?」
 
「いーやー?なーんもマズいことなんて無いさ。女の子一人守れるだけの強さがある、それは大変素晴らしいことだよ。‥‥‥‥‥‥な、“千歳”?」
 
継さんが上を見ながら“チトセ”という名前を言うと、ドアの上んとこからいきなり大きい人が降ってきた
人が居たなんて全然気付かなかったから、ガチでびっくりした
3メートルくらいの高さからポケットに手を突っ込んだまま飛び降りて華麗に着地したその人は、某ヒーローライダーの歴代俳優に紛れててもおかしくない───いや、寧ろそれ以上と言っても過言ではないくらいのスーパーイケメンだった
 
継さんはトキから身を離して、今度はスーパーイケメンの肩を抱‥‥けるような身長差じゃなかったもんだから、腰を抱いた
2人の身長差、マジ半端ねぇ
こうして並んでると、美男美女カップルに見えなくもなかった
にこにこしながら、継さんはスーパーイケメンを紹介してくれた
 
「藤沢、千歳。夕べお前らが助けた女の子の兄貴なんだ」
 
「───え‥‥?」
 
すばる、お兄さんが居たのか
言われてみれば、どことなくすばるに似てるかも
でも待って、今“藤沢”って‥‥すばるの苗字は、“雨間”だ
 
「‥‥、カテーのジジョーってやつ」
 
兄妹なのに苗字が違うという矛盾を察知した俺らに気付いたのか、スーパーイケメンは頭を掻きながらボソリと呟いた
なんてことだ、声もイケメンだ
 
「夕べ妹ちゃんから話聞いて、お前らに直接礼言いたくなったんだと。でも自分から声掛け辛いとか抜かしやがるから、仕様がなく俺が橋渡ししたってワケ。もし勘違いさせちゃってたら、悪かったな」
 
継さんは少し呆れた顔をして事情を説明してくれた
なるほど、そういうことだったのか
スーパーイケメンは照れ屋さんなのか‥‥この人も存外可愛らしいとこあるんだな
 
「‥‥‥‥すばるとは、住んでる家が違って。心配ではあんだけど、なかなか傍に居てやれないから‥‥本当に、助かった」
 
スーパーイケメンが深々とお辞儀をした
きっと、その行為だけで貴方に惚れてしまう人達が男女問わず世界中に沢山いると思います
同性の俺でも、妹思いなスーパーイケメンには感涙ものです
 
「当然のことをしたまでです。もし先輩の妹じゃなかったとしても、多分喧嘩してました」
 
「女の子一人に男5、6人で囲むなんて、卑怯の極みだもんな」
 
「まぁ、すばるだったから余計ムカついたのも事実」
 
「それはあるね、大事な友達だからね」
 
口々に話す俺達を、継さんとスーパーイケメンは穏やかに見ていた
 
「‥‥ガッツあるねぇ、お前ら。ほんと、気に入った。連絡先教えてくれよ、仲良くしようぜ!」
 
継さんはニコッと笑って、ケータイを取り出した
俺らは、和気藹々と連絡先を交換し合った
そういえば、アオの連絡先をまだ知らなかったから一緒にメモリに入れた
因みに、継さんに勧められてスーパーイケメンとも連絡先を交換した
アオの名前と、“継さん(3年3組)”と“千歳さん(3組4組)”の名前が、俺のケータイの電話帳に増えた
 
「もし錦西の奴等がなんか言ってきたらすぐ教えろよ、どうにかすっから。‥‥あと、いつでも好きに使って良いからな、屋上」
 
「‥基本、ココは上級生のテリトリーなんだよ」
 
イナが、こっそり教えてくれた
この設定、ヤンキー漫画とか映画の鉄板ね!
 
この日から千歳さんと継さんという素敵な“友達”が出来て、俺らは屋上に出入りするようになった

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