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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/03/00:36

146 evil

新学期───

 

拓真とリサと、3人で肩を並べて登校する
いつものように気怠そうに登校する菱和と挨拶を交わし、休み時間には上田と戯れ、昼休みには美術準備室へと向かう
変わらぬ友達、教室、校舎の賑わい

学校での日常が、また始まった

 

新学期早々、小さな修羅場が起きた

ユイたちは知る由も無いことなのだが、ある人物にとっては、ちょっとした事件だった───

 

***

 

昼休みが終わる少し前、一同は美術準備室をあとにする
けらけら笑いながら教室までの道程を歩く最中、一人の男子生徒とすれ違いそうになった
ユイはその生徒とほんの一瞬目が合ったが、すぐに顔を逸らし、拓真や菱和と談笑を続ける
すれ違った瞬間も、特に何も起きなかった

ある男子生徒は、驚き立ち竦んだ

何故、あんな顔をして笑っていられるのだろう───そんな疑問が、彼の脳内を埋め尽くす

 

「───お前なんかとっくに眼中に無いんだっての」

一同に遅れて歩いてきた生徒が、彼に声を掛けた
彼は振り向き、ギクリとした

「‥上田」

「健気だろ。めんこいし。“あんなこと”されても、平然と立ち直りやがった。泣かせるねぇ‥‥」

「‥‥、‥‥‥‥」

上田は彼の肩を抱き、ユイたちを見つめながら気さくに話した
いつものチャラい口調、軽いノリ
下を向き、口を噤む彼の顔を、上田はにこりと笑みながら窺った

「‥‥ちょっとくらい期待した?自分のこと気にしてるかもって」

彼はまた、ギクリとする
上田の目が、笑っていない

肩を抱く手に、力が込められた
彼は、ほんの一瞬血の気の引く感覚がした

「───驕るなよ。お前なんかと違ってあいつは前しか向いてねぇ。表面上取り繕った振りしてまだめちゃめちゃ傷付いてっかもしんねぇんだ。あいつにまたちょっかい出してみろ、“あの”窓ガラスみてぇになっちまっても知らねぇからな」

低い声で矢継ぎ早にそう話す上田
何とも“悪い”顔をし、憤怒の刃を向ける

彼は、菱和がぶち割った保健室の窓ガラスが粉々に砕け、飛び散る音がリフレインされた気がした

「‥じゃーね。ご機嫌よう、工藤クン」

今度は満面の笑みを工藤に向け、上田はユイたちの後を追いかけて会話に混ざった

 

工藤は冷や汗をかいていた
身体は戦慄き、動悸は激しく、立っているのがやっとだった

上田の怒りのマシンガントークは、その心に畏怖の念を齎した
上田も、窓ガラスを破り壊した菱和も、ユイへの仕打ちへの怒りは尋常ではなかった
“あのとき”は本気で菱和に殴られると覚悟したが、直接危害を加えられなかっただけマシだったのでは、と思えてきた

 

遠く、笑い声が聴こえてくる
愉しげに笑うユイが、とても幸せそうに見えた

「───くそっ‥‥何なんだよあいつ‥!!」

何でそんなに、あいつの回りには人が集まるんだ───?

 

それが理解出来るようになるまで、如何許の時間が必要だろうか

小さな修羅場───工藤は、今更ながら自分のしでかしたことを激しく恥じ、悔いた

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