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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 05/07/11:16

1-1“ALLT”①

剥き出しの天井、打ちっぱなしコンクリの壁、吸い殻だらけの罅割れた床───
 
アングラな雰囲気が立ち込める一室
中央に置かれた円卓を取り囲むように座す、五人の男
 
 
 
「───よーし。お前ら、散れ」
 
信濃 菩希(しなの ほまれ)の号令と共に、身支度を整えた三人の男が各々席を立ち上がる
 
 
 
 
 
警視庁公安部総務課長・那入 義釈(ないり よしとき)
 
彼は、自らの権限と責任の下、非公式の“何でも屋”「ALLT」を組織した
 
 
 
ALLTには、現在5名の精鋭が所属している
 
菩希は、長らく海外で活動していた元軍人
男でありながら濃い目のドギツいメイクを施しており、その目で見詰められれば忽ち恐怖感を憶えそうなほど妖艶で蠱惑的な雰囲気を醸し出している
しなやかで強靭な肉体以外に在隊時の面影は全くなく、メイクは“現在”の彼のトレードマークになっている
 
菩希の横でPCとにらめっこをしている戸根 提午(とね だいご)は、自他共に認める凄腕の元ハッカー
その腕を活かし、主に情報捜査を担当している
ハッカー時代に多大な恩義がある菩希には忠誠を誓っており、その証拠とも云うべきか、提午は菩希にだけは敬語を使って喋っている
 
リーダーである菩希と常時PCに張り付いている提午はあまり本部から動くことはないが、出張る時には二人は“バディ”となる
 
 
 
残りの三人はスリーマンセルで、ALLTに寄せられた“依頼”を遂行する実働部隊
指令を受け、命令を下す菩希と提午を“脳”とするならば、彼等は謂わば“手足”だ
 
その人となりは、元ジャンキー、特殊な性癖の持ち主、真の意味で“怖いもの知らず”───どいつもこいつも“曲者”だ
 
菩希は、その曲者たちに声を掛けた
 
「おい、予備のグラサン忘れんなよ」
 
「わかってるって。蓉典(ようすけ)、自分でもちゃんと予備持ってけよ」
 
「はいはい」
 
「‥‥さーて、行きますか」
 
北上 憂樹(きたかみ ゆうき)、天塩 蓉典(てしお ようすけ)、最上 伊芙生(もがみ いぶき)の三人は、アングラなALLT本部の扉を開け放った
 
 
 
鉄製の無機質な扉の向こうには約10メートル程のホールが扉同様無機質に続いており、その先には木目調のドアが聳え立っている
オートロックの扉がかちん、と閉まる音を確認すると、憂樹は木目調のドアまで進み、古ぼけた鍵を使って解錠した
 
ドアを開けると、焙煎したての香ばしい珈琲豆の香りが漂うカントリー調の純喫茶「Näckrosor」へと出た
三人は足並みを揃え、「Näckrosor」の店主・甘曽 迦一(あまそ かいち)へ声を掛ける
 
「行ってきまーす」
 
「ああ、行ってらっしゃい。気を付けてね」
 
甘曽は、三人に気さくに返事をした
 
 
 
喫茶店の裏のスペースであるALLT本部は、甘曽の“好意”によって格安で貸し出されている
 
そこ“まで”は、ALLTの人間には周知されている
 
“何故、甘曽はわざわざ低家賃でスペースを貸し出しているのか?”
 
“そもそも、何故純喫茶の裏に“何でも屋”の本部が置かれているのか?”
 
Näckrosorを後にする三人は、口には出さずともその二つの事柄を常々不思議に思っていた
そして、それらを尋ねたところで、疑問が解けること以外に何も意味を成さないことも熟知している
 
実働部隊は、手足のように云われた通りに動けば良いだけ───
 
憂樹、蓉典、伊芙生は、事前に提午から受け取った写真や地図を携え、街中へ散って行った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
何故那入がNäckrosorを本部に選んだのか
 
それは“甘曽と那入が旧知の仲である”ということ以外に特別な理由はない
菩希以外の四人は那入の顔さえも知らず───ALLTが創られた経緯でさえ、リーダーである菩希以外は誰も知らなくても良い事だった

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