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16 Believe
着々と学校祭の準備が進む校内
風船や画用紙で彩られた教室
当日を待ち侘びる生徒たち
何となく懐かしく感じる、放課後の匂い
殆どの生徒が最後の追い込みをする中、拓真はバイトがあり、リサは体調が思わしくなく、二人とも「申し訳ない」と云い残して帰宅した
「ユイー、飲み物買い行かねー?」
「行く行くー!」
作業が一段落ついたところで休憩を挟む雰囲気になり、クラスメイトがユイを呼んだ
ユイは鞄から財布を取り出すとふと教室を見渡し、つい先程まで一緒に作業をしていた菱和の姿が見当たらないことに気付く
「───あれ、菱和は‥‥」
「菱和くんなら、『一服する』って云ってどっか行っちゃったよ」
たまたま菱和の行方を知るカナが、それを伝えた
「あ、そう‥どこ行ったのかな‥‥」
「ユイくんたちがいっつも行ってるとこじゃない?」
「そっか、そうかもね。アリガト!俺今コンビニ行くけど、なんか飲む?序でに買ってくるよ!」
「え、良いの?んー‥‥じゃあ、ロイヤルミルクティーにしよっかな」
「わかった、オッケー!買ってくんね!」
「───あ、ねぇ!」
走り出そうとするユイを、カナが呼び止める
ユイは足を止めて振り返った
「お、何?」
「あ、あのさ。最近ずっと、菱和くんと一緒にいるよね」
「え?あ、うん」
「‥‥たまにはさ、リサにも構ってやってね」
「‥?」
「私が心配することじゃないのはわかってるんだけど、ユイくんたちが菱和くんと仲良くなってからあのコいつも以上につまんなそうな顔してるから、さ。菱和くんと上手くやってるのは私でもわかるけど、リサはまだ少し心配してるみたいだから‥‥」
カナは申し訳なさそうに、最近のリサの様子を打ち明けた
───居ないのを良いことにこんな話したなんて知れたら、きっと怒るだろうな
『またそんなお節介焼いて‥‥心配ないって云ってんでしょ』
リサの顔と声が、安易に想像出来る
確かに、ユイと拓真は菱和と接する時間が増えた結果、リサと一緒に居る時間が若干減った
だが、ユイも拓真も、決してリサを蔑ろにしているわけではない
カナも充分理解しているのだが、それでも、リサの微妙な表情の変化を敏感に感じ取っていた
カナの表情を見て、ユイは必要以上にリサに心配をかけてしまっているということを自覚した
カナがわざわざ話してくるということは、それは思ったよりも深刻で根深い
リサの仏頂面が、ユイの脳裏を過る
自分を心配してくれているリサ
そしてリサを気遣ってくれているカナ
同じ空間に居なくとも、思いやれる人間が居ること
それはこの上なく、ただただ嬉しいことだ
「───カナってさ、‥‥優しいね」
「‥、え‥‥」
「‥ダイジョブ!この前リサと“でぇと”して、ちゃんと話したから!」
『あいつらが満足してるなら、私はそれで良いんだってば』
『仮に何かあったとしても、その時私が出来ることをやれれば‥‥それで良いの』
『‥‥‥‥でも』
「──────『有難う』」
ユイはカナに笑い掛け、買い出しに出掛けていった
カナは、ドキリとした
ユイの『有難う』が、まるでリサから云われたかのように感じた
自分のことのように『有難う』と云ったユイ、そしてそれに重なるリサの声
全てただの錯覚なのだが、カナは暫く立ち尽くしてしまっていた
接する時間が少し減った程度で、ユイとリサの関係が悪くなることはない
それほどまでに、二人は互いを想い合っている
ただの幼馴染みだけでは済まされない程の、信頼や愛情
それは、最早カナの想像の範疇を遥かに超えているものだった
───ああ、そっか。そうだよね
「リサったら、ほんと幸せ者なんだから」
ユイとリサの関係を、微笑ましく、羨ましく思った
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