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97 Malice③
───誰だ、こんな時間まで残ってるなんて‥‥って、それは俺もか
時刻は夕方18:00頃
保健室でだらだらしていた上田は養護教諭の久留嶋から頼まれ、職員室に備品を取りに行った
久留嶋の云う通り、職員室の久留嶋の机の上には段ボールが置いてあった
中身がガーゼである比較的軽めの段ボールを小脇に抱え、上田は職員室を後にした
保健室に戻る途中、自分の教室の電気が点いているのが見え、何の気なしに寄ってみることにした
3人の男子生徒が、何やら話し込んでいる声が聞こえる
「───やっぱ高嶺の花なんだよ近藤は。他の女子とまるでオーラ違うもんな」
「そーそー。なのに告るとか、無謀過ぎだったんだよ」
「うるせぇんだよバカ!!全部“あいつ”の所為だろ!幼馴染みだか何だか知んねぇけど、いっつもくっついてやがってよぉ‥マジムカつく!」
───‥“近藤”‥‥って、近藤サンのことだよな。まぁ、確かに工藤程度の奴じゃあ無謀だわな。一緒にいる機会増えたけど、俺ですら未だに話し掛けるのも恐れ多いもんな‥‥
上田は教室の外で、会話に耳を傾けた
声を荒げるクラスメイト
それは工藤という生徒だった
他の2人は、工藤と同じ中学出身でよくつるんでいる飯田と新谷
どうやら工藤がリサに告白したらしいということがわかり、薄く苦笑いした
引き続き耳を聳てる
「‥‥それ、完全に八つ当たりだろ」
「っていうか、まだなんかやるつもりなのか?もう十分だろ」
「あー‥‥もう飽きた。石川なんてもうどうでも良いや。‥‥でも、調子こくようならまた嫌がらせしてやる」
工藤が口にしたとある生徒の苗字
上田には、心当たりがありまくり過ぎた
───『近藤サンにくっ付いてる“石川”』なんて、ユイしかいねぇじゃん
上田は思った
ユイの上履きがボロボロになったり教科書が失くなったりしたのは工藤たちの仕業なのではないかと
だが、本人たちの口から具体的な内容を聞いたわけではなく、何の証拠もない───
「っつーかさ、お前らまだ帰んねぇの?」
「バス待ち。お前の話聞いてたら一本乗り過ごしちゃったよ」
「次のバスまであと30分あるし」
「あ、そ。じゃあ、俺チャリだし先帰るわ」
工藤は飯田と新谷を残し、さっさと教室から出ていった
上田は一旦隣の教室に身を隠し、工藤が遠ざかるのを待った
「あーあ、マジうぜぇなあいつ。自分の話終わった途端とっとと帰りやがってよ」
「ほんと。下らない話聞いてやってるだけでも感謝して欲しいよな」
「───お友達は選ばなきゃ駄目よん」
上田が徐に教室に入ってきて、飯田と新谷は吃驚する
「‥!上田!!‥‥お前、まだいたのか‥」
「まぁねー。‥‥それよりさ、今の話くわーーーしく聞かしてくんねぇ?バス時まで、30分あるんだっけ」
抱えていた段ボールを勢いよく机に叩きつけ、上田は飯田と新谷を睨み付けた
2人はギクリとした
「いやー、わかるよー。工藤がうぜぇのは俺もよく知ってる。‥‥でもさ、大事なマブダチがこれ以上影でコソコソ嫌がらせされんのはマジで我慢なんねぇんだわ。結構ひでぇことしてくれちゃってさ。‥正直にゲロってくれたら、俺もお前らに“ひでぇこと”しないで済むんだけどな」
口角は上がり、言葉の端々にチャラさが見えるも、その本質は“憤怒”
ユイと上田の仲が良いことは飯田と新谷もよく知っている
その上田に、先程の話を聞かれていたとは露知らず
憤怒のオーラを全開にしている上田に観念し、飯田と新谷は今まで工藤がユイにした嫌がらせの一部始終を打ち明けた
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