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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 02/04/23:37

79 FEVER④

カーテンの隙間から薄暗い光が差し込む
上がりかけている雨粒が屋根に落ちる音が聴こえる
肩の辺りに重みを感じ、ユイは目を覚ました
何度か瞬きをした
菱和が横で眠っている
肩の重みは、菱和の腕だった

夕べ、互いの気持ちを伝え合った後、ユイは菱和の腕の中で眠りに就いた
夕べのことを思い出すと照れ臭く、今自分の横で眠っている菱和を見ると、心が擽ったくなった

───睫毛が長いなぁ

暫く顔を見つめていると、菱和が低く唸り、ゆっくりと目を開けた

「‥‥‥‥んー‥‥」

「おはよ、アズ」

「ん‥‥はよ‥」

いつもより低く嗄れた菱和の声
徐に伸びた手は目を軽く擦り、ユイの頬に触れる

「具合‥どう?」

「うん、‥‥だいぶいい」

「‥そっか‥‥」

まだ半開きの菱和の目が、少し細くなった


「‥‥‥眠みぃー‥‥起きたくねぇー‥‥‥‥」

「あ、アズっ‥」

ぎゅっ、と、ユイを抱き締める大きな腕
ユイの鼓動が高鳴り出すと、菱和はぼそりと呟いた

「───お前、あったかくて気持ちいい」

「‥‥そう?」

「‥ん。お陰で熟睡どころか爆睡出来た」

「‥‥昔から体温高い方なんだ、俺。今は熱あるから余計かもしんないけど」

「‥‥そっか」

腕を緩め、菱和はユイの顔を覗き込んだ

「‥‥食欲あるか?」

「うん、まぁまぁ」

「普通に食えそうか?それとも粥にする?」

「‥じゃあ、お粥食べたい」

「梅と卵、どっちがいい?」

「‥梅」

「だよな。‥今作る」

ぽん、とユイの頭を軽く叩き、菱和は布団から出ようと体を起こした

「っ、待って」

「ん?」

「‥後で良い」

ユイは菱和を呼び止め、腕を掴む

「‥‥?」

「‥も少し、このまま‥‥‥‥」

 

寝起きの脱力感
眠気の残る頭
いつまでもだらだらとしていたい、心地良い朝の気だるさ
そして、互いの温もり
きっとこの先も思う存分味わえるのであろうが、特に今は───

「‥ああ、うん」

菱和は優しく笑い、また布団に入り込んだ

 

「夢じゃないよ、ね」

「ん?」

「‥‥俺、今、‥アズと一緒にいるよね」

嬉しそうにそう呟くユイを見て、菱和は意地の悪い顔をした

「‥‥ほっぺ抓ってやろうか?」

「‥!‥‥いいよ、そういうのは!」

「遠慮すんなって、ほら」

「してないから!何で朝から意地悪なんだよっ」

「朝とか夜とか関係あんの?」

「‥知らないよっ」

ユイは菱和に背中を向けた
夕べのことは、夢か幻だったのだろうか
いや、違う
気恥ずかしさの残る心と身体が、ちぐはぐになっているだけだ
軽く咳払いをすると、背後から菱和の声が聴こえた

「‥‥ユイ。‥ゆーい」

 

「‥‥‥‥‥‥っ‥───」

呼びかけてもこちらを向かないユイを、後ろから抱き締める菱和
後頭部に菱和の息が伝わった途端に、顔が熱くなる
鼓動は早く鳴りっぱなしだった

「‥‥ユイ」

「な、に?」

「お前、抱き心地よくて気持ちいい」

「‥‥そう、なの?」

「ん。気持ちいい」

「そぅ‥ですか‥‥」

極度の緊張状態に陥り、何故か敬語になってしまう

 

「───リサにも云われたけど、“ちゃんとする”」

「‥‥、んん?」

「‥‥もうあんな顔させねぇから」

「えっ‥‥、と」

ユイは漸く振り返った

「‥ほんとに初めてなんだ、こんな気持ちになったの。お前の顔、ずっと忘れらんなかった。‥‥ごめんな。沢山心配かけて」

全て自らの言動が引き起こしたこと
その後悔はあまりにも大き過ぎた
今こうして傍に居られることに、相手の有り難みを感じずにはいられない
謝罪の言葉に、ユイはふ、と笑った

「‥‥‥んーん。‥結局、あんとき云ったことは嘘だったんだよ、ね?」

「‥‥、嘘と云えば嘘、かな。わりとマジな部分もあったけど」

「‥‥‥そう、なの?」

「もうあんな下らねぇこと思ってねぇしこれからも思わねぇ、ぜってぇ」

「‥‥だったら良いよ、もう」

ゆっくりと目を閉じ、ユイは菱和の胸に顔を埋めた
菱和は遠慮なく、その身体を抱き締める
ユイの頭を優しく撫でながら、慈しむように髪を梳く

「‥‥‥‥、なんかそれ、落ち着く‥‥」

「‥‥そう?‥‥ほんとはさ、ずっとこうしたかった」

“ずっとこうしたかった”
それは、何時からかなのか

「‥‥‥てか、いつから‥想ってくれてたの?」

「いつから‥?んー‥‥‥‥。‥‥覚えてねぇや」

「何それ?思い出して!今すぐ思い出してよ!」

「覚えてねぇもんは覚えてねぇんだよ」

気恥ずかしさを隠すように、菱和はユイを抱く力を込める

「‥‥‥‥嘘吐いたくせに」

「‥何だよお前、結構根に持つタイプ?案外底意地悪りぃな」

「嘘吐いた罰だよ!それなりに傷付いたんだから!」

「お前だって胸倉掴んできたろ。超怖かったんですけど?」

「‥‥嘘吐いたアズが悪い」

「あっそ‥」

「‥‥‥‥、‥嫌いになっ、た?」

「‥んなわけあるかよ。ばーか」

菱和はユイの額に軽くデコピンをした
唇を尖らしながら額を擦るユイの顔は、次第に笑顔になる
何時もの、ユイの顔
今度は、独りではなく、願わくば拓真やリサの力も借り、いつまでも“護りたい”と、そう思った

「‥取り敢えずさ、俺がこうしたいとき身体提供して。‥‥なんか癖になるわ、これ」

そう云って長い溜め息を吐き、菱和はまたユイを抱き締める

この短時間だけで、一生のうちの幾つ分鼓動を打ったのだろう
この“想い”を、手離さなくて良かった
そんなことを思いながら、2人はだらだらとベッドに寝転がり、互いの体温を確認した

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