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65 Worry
相変わらず他愛ない話をしながら、何時ものように登校するユイと拓真
教室に溢れる話し声や笑い声に、自然と混ざっていく
リサやカナも登校し、昨日観たテレビの話題で盛り上がる
予鈴が鳴り、生徒たちは名残惜しみながら着席し、担任が来るのを待つ
ふと、教室を見渡すと、菱和の席が空いているのに気付く
「あれ、アズ‥‥」
朝のホームルームが終わってから、ユイは菱和にメールをした
『今日、学校休み?』
少し心配になりつつ、ユイは菱和からの返信を待った
しかし、待てど暮らせど菱和からの返信はない
そうこうしているうちに昼になり、『もしかしたら教室に来ないだけで屋上には居るかも』という淡い期待を抱き、拓真や上田たちと共に昼食を持って屋上に向かった
屋上に、菱和の姿はなかった
ユイは少しがっかりし、初めて菱和が居ない屋上での昼休憩を過ごした
「菱和くん、どうしたんだろうね。やっぱ休みなのかな」
「何だよ、来てないの?風邪でも引いたんか」
カナや上田も、菱和が登校していないことに違和感を覚える
ユイは小さく溜め息を吐いた
「朝メールしたんだけど、返事返ってこないんだよね」
「え、まだ返事来てないの?」
「うん‥‥なんかあったのかなぁ‥‥‥‥」
朝送ったメールにまだ返信がないことで、流石に拓真も菱和のことが心配になってきた
「気付いてないだけかもよ」
リサだけは、心配しているような態度をとらない
確かに『妙だ』とは思っていたが、返信する気があっても忘れてしまうことは良くあることだ
「だと良いんだけど‥‥‥」
「ま、今日一日返信待ってみたら?誰だって体調悪くなるときくらいあるっしょ」
「‥‥そうだね、待ってみる」
ユイは小さく頷き、昼食を摂り始めた
放課後になっても、菱和からの返信はなかった
ユイはやはり菱和を心配しつつ帰宅した
今日は拓真がバイトなので、バンドの練習は無い
そうなると、特に菱和と会えそうなきっかけもなく、いっそ安否確認に菱和のアパートへ行こうかと思ったが、本当に具合が悪ければそれも迷惑になってしまうかもしれない
取り敢えず、拓真に云われた通り、今日一日は菱和からの返事を待つことにした
ギターを弾いて過ごしていると、外はすっかり暗くなっていた
時刻は21時を過ぎていた
ユイは2階の自室から1階に降り、リビングの電気を点けて冷蔵庫を開けた
何かと出張が多い父が作り置きしていった、惣菜の入ったタッパが幾つかある
冷凍庫にも、すぐに食べられるように作り置きしたカレーやシチューが入っている
ユイは適当に冷蔵庫を漁り、それらを温め直して食べ始めた
軽く食事を済ませると、ユイは食器を片し、シャワーを浴びに浴室へ行った
もしかしたらシャワーを浴びてる間に返事が来ているかも───
そう期待しつつ洗髪等を終え、浴室から出た
タオルでわしゃわしゃと髪の毛を拭きつつ、リビングのテーブルに置いていた携帯を見る
菱和からの返事は、無かった
「‥‥‥‥‥ほんとに、どうかしたのかな」
少し肩を落とし、ユイは自室に戻った
ベッドに寝っ転がり、溜め息を吐く
どうしたんだろう、学校にも来ないしメールも返ってこない
具合悪いのかな、寝込んでるのかな
それとも俺、アズになんかしちゃったかな
何も思い付くことはないけど、無意識のうちにアズの機嫌損ねることしちゃってたのかもしんない
だったら謝りたいし、具合悪いならなんか俺に出来ることしたい
菱和のことばかり考え、ギターを弾く気にもなれない
“今日一日返信を待つ”
勿論そのつもりだった
だが、ユイはもう一通だけメールをした
『アズ大丈夫?寝てたらごめんね』
───明日は、アズの顔見れるかな
菱和からの返信を待ち望み、ユイは携帯を握り締めて眠った
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