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53 LIVE!!
無事出番を終えたHazeのメンバーは、SCAPEGOATの面々を残して袖へと下がった
そのまま控え室に戻り、全員が肩で息をしながら椅子にどかりと座り脱力した
「あー、疲れたー!!」
「マジ楽しかったー、やっぱジョイントやるとテンション違うわ!」
「ひっしー、どうだったよ?」
「‥‥‥‥すんげぇ楽しかった」
「‥そうか。まぁ、つまんなそうには見えなかったな」
「うん。なんか後半は自分でも変になってた」
「ははは!そうだったんだ!でもやっぱライヴはそうじゃなきゃね!」
「上出来だ。これからもあんな調子で頼むぜ」
「うん」
「さーてと‥‥‥‥あいつら観に行っか?」
「そだね。ユイ、どうする?」
普段なら一等先にライヴの感想を述べるユイが、控え室に戻ってきてからは一言も発していない
椅子に座り、ぼーっとしている
「‥‥ここにいる」
ユイの様子がいつもと少し違うように見えたが、拓真とアタルは敢えてそれを追及しようとしなかった
「‥そっか。ひっしーは?」
「‥‥俺もここにいるわ、少し休む」
「わかった。じゃ、俺らSCAPEGOAT観に行ってくるわ」
そう云って拓真はアタルと共に、控え室から出て行った
静まり返る控え室
菱和は立ち上がり、呆然としているユイに声を掛けた
「‥‥どした?」
「──────‥‥‥‥俺、めっちゃ手ぇ震えてる」
声を掛けられたユイは菱和の顔を見て、不安げに笑った
覗き込むと、ユイの指先が震えていた
「‥‥俺も、すげぇ楽しかった。でも‥‥今なんか、ちょっと変だ。いつもはこんなことないんだけど‥‥‥‥」
そう云って、ユイは目を丸くして自分の掌を見つめた
未だ興奮冷めやらぬ脳内や心臓
頭の先から指先、足の先まで、全てが快感で埋め尽され、溢れ出て止まらない脳内物質
強迫観念にも似たような感覚で弾き続けた指先
そして、快楽や昂揚感と同等かそれ以上に、不安や緊張もつきまとう中の演奏
張りつめていたものが一気に解け、その反動が今になって出てきているような気がしていた
ふと、掌が、大きな掌に包まれた
ユイは少しビクつき、顔を上げた
菱和はユイの前に跪き、ユイの手を握っている
ユイの顔を見上げた菱和の前髪が、揺れる
「‥‥大丈夫。俺もだから」
穏やかに笑みながら力を込めて握ってきた大きな手もまた、小刻みに震えているのが伝わってきた
不安や緊張の糸が切れたの、菱和も同じだった
リサとはまた違う想いで握られた手
ユイは不思議と、次第に落ち着きを取り戻していくのがわかった
手の震えが徐々に無くなっていく
菱和に手を握られているからだと、自分の手を包み込む大きな手を見てそれを自覚した
「──────‥‥アズ」
「ん?」
「もうちょい、このまんまでいてくれる?」
「‥‥‥‥ん」
菱和は、更に力を込めてユイの手を握った
ユイは薄く笑い、菱和の手を握り返した
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