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51 LIVE!!②
ザワザワとしているオールスタンディングの客席
前のバンドの熱が残る、暗転しているステージの上
スイッチやケーブルを踏まないように、定位置に付く
拓真がセットと椅子の調整をし、シンバルの音を鳴らす
ユイと菱和とアタルはそれぞれシールドとアンプを繋ぎ、軽く音を出してみる
エフェクターの準備は出来ている
チューニングもほぼ合っている
暗がりの中で、アタルが拓真に合図すると、カウントの音が響いた
ライトに照らされる4人
ギターのリフとユニゾンするベース
そして、それに重なるドラム
アタルがイントロに一発シャウトをかますと、客席は一気に高揚した
一曲目は、全編通してほぼギターとベースのユニゾンで構成されている“RED SILK”
ユイと菱和は互いに目配せし、拓真も全体を見ながらリズムを刻む
マイクを構えて歌うアタルの赤い髪と同じカラーのSGが、ライトに照らされて映える
アタルが歌う傍ら、ユイと拓真が「BULLSHIT!!」と掛け合いをする
サビに入ると、一層ヒートアップするアタルがオーディエンスに負けじとがなる
ユイはギターを弾きながらハモる
2回目のサビが終わると曲調は変わり、ベースがそのテンポをゆっくりと刻む
そこにドラムが加わり、ギターの重いリフが乗る
ユイはリフを弾きつつ、低い声で歌詞を呟いた
End of the world of the country is bright red
My heart was dyed red.
Throw off the clothes,touches the skin,murmured the name.
And,I will be conquered from the core.
Dive deep inside of you to follow a long history‥‥‥‥
歌詞の最後の部分に被せるように、アタルはワウペダルを踏みながら、ギターソロを奏でる
ユイの弾くリフに歪んだギターソロが重なる
ソロが終わるとアタルはまたシャウトをし、それを合図に全員がそのまま最後のサビへと雪崩れ込む
演奏が終わると、一瞬の静寂の後、オーディエンスの歓声と拍手が巻き起こった
4人は無事一曲目が終わったところでそれぞれ安堵し、軽く息を吐く
ユイと拓真とアタルは、久々のライヴでも今まで通り変わらない印象
菱和はというと、無表情なのは変わらなかった
だが、決してつまらなさそうということはなく、当の本人も至って楽しくベースを弾いていた
楽器を弾く人間からすると、その腕は目を見張るものだった
加入から一月ほどしか経っていないのだが、元々持ち合わせている才能も相まって上手くバンドに嵌まっている
ユイと拓真とアタルの音に、寸分の狂いもなく心地よく重なっていた菱和のベース
聴き慣れている尊のベースと比べても遜色は無いように思えた
客席から全てを観ていたリサはゾクリとし、軽く腕を擦った
***
───満員じゃん
ライトに照らされたステージからは、客席はよく見えるわけではない
だが、後ろの方まで人が居るのは目視できる
菱和は人の多さに感心し、軽く髪を掻き上げた
「どーも、“Haze”です。初めましての人は初めまして」
アタルがMCを挟む
観客は大歓声に沸いた
「きゃーっ、アタル様ー!!!」
アタルのファンと思われる女性の声が響いた
軽く会釈すると、アタルは続けて話した
「‥‥ベースが抜けて暫くマンスリー出てなかったけど、この度新しいベースが加入したんで紹介します。“ひっしー”です、はいみんな拍手ー」
アタルに掌を向けられ、菱和はぶっきら棒に会釈した
ユイはニコニコしながら拍手をし、拓真はハイハットを踏む
オーディエンスからも拍手が飛んだ
「あ、こいつ“コミュ障”だから何も喋らねぇんです、すいませーん」
アタルが意地悪そうにそう云うと、客席から笑いが起こった
アタルにほんの少しの悪意があるのを感じたが、コミュ障であることは事実なので、菱和は特に何とも思わなかった
「今日はひっしーが入ってから初めてのライヴなんですけど、このあとSCAPEGOATの奴等とジョイント演ります。俺らを観たことある人も初めて観たって人も、是非楽しんでって下さい」
アタルの言葉を聞いて、ユイは深々とお辞儀をした
「じゃあ、次は“knife”っていう曲演ります。聴いてください」
ライトの調子が変わり、拓真はカウントを始めた
曲が始まると、チカチカと光り出す
“knife”は、シンプルなミディアムテンポの曲
リフにはハーモニクスが入り、ナイフのような鋭さを強調させている
大好きなカッティングが随所に入っており、ユイはノリながら弾き続けた
ギターを弾きながら歌うアタル
Bメロとサビの部分にハモりを入れる拓真
それを支える、菱和のベース
シンプルな曲だからこそ、バンドのバランスの良さが際立つ
Words that casual remark are hit me like a “knife”.
I'll hold you like demons!!
食い入るようにマイクに向かって歌うアタルは、赤い髪の所為もあってか迫力がある
滑るようにギターソロを弾きこなし、再び歌い出す
終盤に入ると、ユイは頭を振り乱しギターを掻き鳴らした
全ての音が止む中、ユイだけは音を出し続ける
間延びしたハーモニクスが、会場に響き渡った
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