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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 02/05/01:16

50 LIVE!!①

ライヴ当日
開場前にも関わらず、Sound Hallの前はごった返していた
マンスリーライヴの常連バンドの名前が看板に書かれており、HazeとSCAPEGOATの記載もある
最大で300ほどのキャパであるSound Hallは、ユイたちの住む地域では比較的大きい会場であり、マンスリーライヴは地方からも参加者が集まるほどの賑わいを見せている


夕方
ユイたちは最後のリハを行った後、控え室に集まった
控え室は2バンドで共有することになっている
ユイたちは3番目、SCAPEGOATは4番目なので、ハジたちと同じ控え室
6畳ほどの狭い室内は8人入ればぎゅうぎゅうで、すし詰め状態になっている

「菱和くん、初ライヴだねー。めっちゃ楽しみなんだけど!」

「つうかさ、新メンバー加入後すぐジョイントなんて、俺らついてねぇ?」

「役得だよね。あっちゃんたちと仲良しで良かったー」

「ははっ。俺らも久々だから、いつもとテンション違うよな」

「もう、今日は全部楽しみ過ぎる!」

「俺ら、袖で観てっから」

「うん!観てて!」

「てめぇ、演ってるときによそ見すんなよ」

「しないよ!」

「たっくん、俺も熱視線送るから!」

「要らん」

時刻は18時
間もなく、マンスリーライヴが始まる

 

ドアをノックする音が聞こえ、全員が一斉にドアの方を見た

「どうぞー、誰?」

ドアから一番近い位置にいたユウスケが扉を開けると、リサとカナの姿があった

「あ、リサちゃん?カナちゃんも」

「え、マジ!!?」

お気に入りの女の子の名前を耳にし、一番反応したのはハジだった
ユウスケに促され、リサとカナは会釈しながら控え室に入った

「こんばんはー!観に来ましたー!」

「よー、よく来たなぁ」

カナは笑顔で挨拶しているが、リサはいつもの仏頂面だった
菱和を除くHazeの面々には見慣れた光景だが、SCAPEGOATの面々は女子の登場にすっかり浮かれる

「わぁお、相変わらず可愛いねぇ二人とも」

「いらっしゃい。久し振りだね、元気だった?」

「はい!あの、これ差し入れです!」

「え、なになに?」

リサとカナは、持っていた紙袋をユイに渡した
ユイは袋を広げて、匂いを嗅いだ

「‥美味そーな匂い!何これ?」

「マフィン。出番まで、お腹空くんじゃないかと思って」

ライヴが夕方か夜に始まり、終了後に打ち上げを兼ねて食事に向かうことが多い為、メンバーたちはいつも食事を控えている
そのことを見越しての甘いお菓子の差し入れは、有難いことこの上なかった

「おお!助かる!」

「やべぇ、急激に腹減ってきた」

「どんなのが好きかわかんなかったから、適当に作ってきたんだけど‥‥」

「え!!手作り!!?」

ハジは『手作り』というワードに、弾けるように反応した

「はい、昼間のうちに二人で作ったんです。ね、リサ?」

ニコニコしているカナの横で、リサは黙って頷いた

「えっと、味はプレーンとチョコチップと紅茶とコーヒーなんだけど‥‥」

「じゃ、俺これー!」

カナがラインナップを告げたところで、ユイは袋から迷わずチョコチップのマフィンを一つ取り出した

「あっ、俺もチョコチップ!」

「俺プレーンが良いな」

「俺、コーヒー!」

「ほーい、どうぞー」

ユイは袋を広げて、メンバーの元へと駆け寄った
アタルと拓真はプレーン、ユイと上田はチョコチップ、菱和とケイは紅茶、ユウスケとハジはコーヒー味のマフィンを貰った
各々がマフィンを手に取り、頬張り始めた
甘い焼き菓子の香りが、室内に漂う

「‥美味っ!めっちゃ美味い!」

「コーヒー味って初めて食ったけど、結構イケるね」

「ほんとですか?良かったー!」

リサとカナは余っていた残りのマフィンを半分こし、皆と一緒に食す
カナはそっと菱和に近付き、声を掛けた

「菱和くん、どぉ?」

菱和は咀嚼しながら返事をした

「‥‥美味い。コーヒー飲みてぇ」

「良かったぁ!菱和くんて、甘いもの苦手かなーと思ってたんだけど‥‥」

「いや、結構好き」

「そうなの?また何か作ったら、食べてくれる?」

「ああ、喜んで」

カナは全員が手作りのお菓子を喜んでくれたことに胸を撫で下ろし、懸念していた菱和からも『甘いものは大丈夫』だと明確な答えを聞けて安堵した

「あー、ほんとコーヒー欲しくなるわこれ」

「ミルクティーでも良いな」

全員が舌鼓を打ちながら、マフィンを味わいつつ談笑する
ユイは菱和の食べているマフィンを見て、話し掛ける

「アズは、紅茶?」

「‥‥ん」

「‥はい!」

ユイは自分の持つ食べかけのチョコチップマフィンを少し千切り、菱和に差し出した
菱和は手に取り、口に運んだ

「‥‥美味いな」

「んっ!」

「‥‥俺のも食う?」

菱和も、ユイと同じくらいの量を千切ってユイに渡した

「‥うんまぁ!紅茶、美味い!」

「美味いよな」

マフィンを分け合うユイと菱和

「───あ、なんかデジャヴ」

「何が?」

「なんか、こんな感じどっかで見たような気がして‥‥‥‥」

「‥‥それ、この前の唐揚げじゃない?」

「ああ、それだ」

上田が導き出した答えに納得した拓真は、マフィンにかぶり付いた

「何?唐揚げって」

と、ケイが拓真に尋ねる

「この前、ユイが自分のべんとの唐揚げをひっしーにお裾分けしたことがあって。なんか、そん時に似てるなーって」

「へぇ。ゆっちゃんて、時々そうやって可愛いことするよね」

ユウスケは微笑みながらユイを見つめ、カナはユウスケの言葉に同意する

「そうなんですよね!やだもう、ユイくんったら!」

「え、普通じゃない?美味いもんは、分かち合いたいっしょ!」

ユイはニコニコしてマフィンを頬張った
マフィンを包んでいる紙製のカップを破きながら、アタルはユイに云った

「おいチビ、口にチョコチップ付いてんぞ」

「‥え、どこどこ?」

「そんなとこも、可愛いよね」

「違げぇよ。ガキなだけだ」

「子供扱いすんなよ!」

「うっせぇ、チビガキ」

ユイとアタルのやり取りに、周りはくすくす笑う
リサは、無言でユイにティッシュを手渡した

 

***

 

「あー美味かった。御馳走様でした!」

「御粗末様でしたー」

「マジ有難う!ほんと美味かったわ」

「いえいえ、また何か作ってきます!」

カナはすっかりSCAPEGOATのメンバーと打ち解けている
その様子を静観しているリサに、ユイはティッシュを返し、そのまま掌を差し出した

「リサ、有難う!」

リサはティッシュを受け取ると、当然のことのようにユイの手を握った

「‥‥頑張って」

「うん!観ててな!」

「あ、俺も」

「ユイのこと、宜しくね」

「任せとき!」

拓真も、リサと手を握り合う
強く念を込め、握られた手
そこには、確かな絆が感じられる

 

「あ、あっちゃんたち練習する?俺ら煙草喫ってくるわ」

「おう、わかりぃ」

SCAPEGOATのメンバーは、リサ、カナと一緒に控え室から出て行った

 

「相変わらずやってんのか」

「うん!久々だし、パワー貰わなきゃ!」

「なんかもう、験担ぎみたいなもんなんだよなぁ」

「ほんと、ね!」

ユイと拓真は顔を見合わせる

「‥‥こいつらさ、ライヴ前は絶対って云って良いくらい握手してんだよ。念送り合うみてぇに」

アタルは怪訝な顔をしている菱和に、3人の握手について説明した

「‥‥何してんのかなって思ったけど、そういうことだったんだ」

「いっつもやってんだ。あれやるとさ、上手くいくような気がするんだよね。リサから力分けて貰ってる、っていうか」

ニコニコとそう話すユイを見て、菱和は何度かゆっくりと頷いた

「お前ら、ほんと仲良しな」

アタルは柔らかく笑み、ギターを担いで爪弾き始めた
ユイも、弦を切らないように控えめにギターを弾き始める
菱和は速弾きをして指慣らしをし、拓真は椅子に座ってテーブルの縁をスティックで叩いた

 

時刻はあと数十分で19時になる
スタッフがユイたちの順番を告げに控え室へ来た

「Hazeさん、全員揃ってますか?そろそろスタンバイお願いします」

「うぃーす」

「じゃ、こっちの“いつものやつ”もやりますか」

「ひっしー、こっちゃ来い」

アタルは菱和に手招きした
菱和が来ると同時に、3人は互いの肩に腕を回した

「円陣。ステージ出る前必ずやるんだ!」

菱和もユイたちに倣い、ユイと拓真の肩に腕を回す


「ひっしー、お前このバンド入って楽しいか?」

「うん、すげぇ楽しい」

「‥‥よし。俺らは“バンド”だ。何より大事なのは、俺らと同じくらい客を楽しませること。お前が上手いのは知ってっけど、ぶっちゃけ演奏の上手い下手は二の次だ。お前がブアイソなのはわかってるし、『無理矢理笑え』とまでは云わねぇ。でも、楽しいなら心の底から楽しめ。これは今日だけじゃなくて、これから先もずっと同じこと。‥良いか?」

「‥‥うん、わかった」

菱和は静かに頷いた

「まぁ、ユイ一人だけで4人分のテンションだろうからお客さんには伝わるだろうけどねー」

「んふふー」

「よっしゃあ、久々のライヴだ。たーのーしーむーぞーおおお!!!」

「っしゃあっ!!!」

円陣を終え、各々は楽器を手に持ち、ステージへと向かう

「アレやると、全然気合いが違うんだ!初めてライヴやったときから、ずっとやってんの」

「‥‥握手も円陣も、良い習わしだな」

「でしょ?今度から、アズもリサからパワー貰いなよ!」

「‥‥‥‥あいつの手握ったら、取り敢えずぶん殴られそうなんだけど」

「へ?何で?」

「‥‥何でもね」

菱和は頭を掻きながら、ステージに向かった

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