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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 02/05/01:16

41 Fallin’ 【A SIDE】

少しずつ秋の風が混ざる、学校の屋上
ユイと拓真と菱和、そして上田は、最早すっかりいつものこととなってしまった『昼休憩は屋上に集う』習慣に倣い、毎日のように一緒に過ごした
輪になって話し込むユイと拓真と上田を、菱和がぼーっと景色を眺めながら静観している
最早、これも見慣れた構図

 

「どうだったん?スタジオ」

「いやー、超楽しかったね。全員大興奮!ひっしーのベース、ほんとヤバいわ」

「そりゃようござんしたねぇ。俺もお前らの曲聴くの楽しみなんだけど!次のマンスリー出るっしょ?」

「一応その予定だけど、あっちゃんが『曲が間に合わなかったらその次にする』って。でも、早くライヴ演りたくてウズウズしてるよ!」

「ははっ!じゃあさ、近いうち対バンしよーぜ!」

「そっか、演るって云ってたもんな。久々にやりますかー」

「おー。俺らも楽しみにしてんだぜ、お前らと同じライヴ出んの!」

「じゃあさ、合同ミーティングしなきゃね!」

「そうねー。あ、皆で飯食い行っか。この前行けんかったし」

「行く行くー!」

 

頬杖をついてぼーっとしている菱和の横に、ユイが並んできた
にこにこと、菱和に笑い掛ける

「‥‥楽しみだね!」

「ん」

菱和は怠そうに生返事をした
今までもそういったことは何度もあったが、“菱和はこういうキャラ”だと思っていたので、ユイは否定的に受け取りはしなかった
無愛想で無口な菱和の横に、空気が読めなくて騒がしいユイが並んでいる
一見相容れないように見える2人だが、お互いを補うように上手くバランスが取れていると、拓真も上田も思っていた

 

「なんか、コーラ飲みてぇな。拓真、コンビニ行くべ」

「一人で行けば良いじゃん」

「ついてきてよぉ、たくちゃあん‥‥俺ウサギさんだから、淋しいと死んじゃうの‥‥」

「じゃあいっそ召されろ。あと、気持ち悪い」

「んなこと云ってー。俺のこと世界一好きでしょ!ほら、チューしたげっから!」

「うげっ!やめろぉ!!」

上田は拓真に絡み出し、あれよあれよという間に屋上から出て行った

静かに、穏やかに流れていく時間
少しずつ秋の匂いが籠る風が、残暑を掻き消す
会話が無くとも、ユイは菱和が隣に居るだけで満足し、菱和もまた、口煩く話し掛けてくるユイを受け入れていた

「あ、もうそろ予鈴鳴る。教室戻ろ!」

「‥‥‥‥今日は、サボるわ」

「‥‥へ!?」

「なんか、かったりぃ」

「えー‥‥‥‥」

菱和は空を仰いで、軽く溜め息を吐いた
ユイは思い立ち、ぱん、と手を叩く

「‥‥よし!じゃあ俺も!」

「‥‥‥‥良いのかよ」

「うん!たまには良いでしょ。次の授業政経だし、俺もかったるい!」

「‥‥そ」

 

予鈴が鳴り、静かな屋上が益々静かになったように感じる

「なんか、ドキドキする‥‥」

「サボったこと無いのか」

「無いわけじゃないけど、久し振り過ぎて。皆授業してんのに、っていうか本来俺もその筈なのに。なんか変な感じ」

「‥‥案外悪くねぇだろ」

「‥うん!アズと一緒だしね!」

そう云って、ユイは菱和に笑い掛けた

 

 

ふと、菱和の動きが止まる

 

行き交う喧騒を置いてけぼりにしたまま、鼓動が聴こえる
心臓がザワザワとし出し、息苦しさを感じる
いつも以上に早い鼓動が、いつも決まって騒ぎ出す

 

そう、こいつが俺に笑い掛けたときに限って───

 

何なんだろう、これは
何でこいつは、俺にこんな顔が出来るんだろう
見る度に、変な気分になる
この気持ちは、一体何なんだろう
こいつの笑顔は──────

 

それがどういうものであるかわからない
今までに抱いたことの無い、不可思議な、複雑な、そして単純な感情

 

“触れてみたい”

 

衝動を抑え切れず、菱和は手を伸ばした

菱和の大きな手が、ユイの頬を包む
ユイは若干肩を竦めたが、自分を見つめる漆黒の目に捕らわれる
怪訝な顔をし、首を傾げた


「───‥‥‥‥アズ‥‥?」

 

───ああ、そっか

 


「んむっ!?」

頬を抓られ、変な声が出た

「‥‥‥‥、変な顔」

「なっ、何だよ!?そっちが抓ってきたんだろ!」

ユイは慌てて菱和の手を払い除ける

 

初めて触れたユイの肌

“触れたい”なんて、思ったこともなかった

何でそんなことをしたくなったのか、全くわからなかった

でも、確かに感じたかった

こいつの存在と、この感情が何なのかを

 

笑顔のみならず、ユイが見せる表情や仕草

ユイを形作っている全てのもの

その全てが、いつしか自分の中で特別なものになっていることに気付く

 

頬を抓ることで誤魔化すことしか出来なかったが、菱和は自らの心中にあった一つの感情をゆっくりと自覚した

 

“好き”なんだな、俺。こいつのこと───

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