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115 「För att lära känna varandra , låt oss prata en hel del」④
「うー‥ん‥‥楽しかったぁ」
「さて、どうすっか‥‥もう寝る?」
「んー‥‥、多分寝れる気しない」
「じゃ、取り敢えず布団入ってごろごろしてるか。そのうち眠くなるべ」
「‥うん」
***
「そういや、お前はガキの頃何してた?」
「俺?んー‥‥、放課後ガッコでよく鬼ごっこしてた。神社とかお寺で肝試しもやったなぁ。夏は海行って川行ってみんなでお祭り行って、帰りにもえぎの住宅街行って夜景見たり。冬はかまくら作って公園でソリ遊びしたり“しばれ焼き”食いに行ったり。ライヴ終わりにテンション上がりまくって、楽器持ったまま海まで朝焼け見に行ったこともある」
「十分楽しそうじゃん、お前も」
「うん、フツーに楽しかった。‥‥海行ったときさ、俺が兄ちゃんと2ケツして拓真とあっちゃんが2ケツして激チャリしてさ。途中で俺も拓真も漕ぐの交代したんだけど、着いた頃にはあっちゃん酸欠っぽくなってて。いちばん不摂生だからさーあっちゃんて。いっつも最初にヘバるんだ」
「ふふ‥なんか、想像つくわ」
「でしょ、ふふふ。あとは、バンドばっかりだなぁ‥‥毎日自宅か誰かんちでギター弾いて、常に“合宿”状態」
「‥‥合宿?」
「あ、そだ。あんね、俺ら毎年春休みに合宿やってんだ。もう4年くらいなるかな‥‥あっちゃんの親戚のおじさんが別荘持ってて、地下に防音室あんの。2泊3日くらいでバンドの強化合宿に使わしてもらってんだ。食料持ち込んで飯作って、食後にあっちゃんがノンアルのカクテル作ってくれたりして。良いだけ食べて演ったら、みんなで雑魚寝!」
「へぇ‥‥めっちゃ楽しそう」
「もう、超ー楽しいから!今年からはさ、アズも一緒!」
「早く行きてぇな、それ」
「ほんと、待ち遠しい!‥‥‥あ。アズがベース始めたのって、店長が勧めたからって聴いたんだけど」
「ああ、うん。この街来たばっかんときに、時間潰すのにsilvit入ったんだけど最初楽器屋だってわかんなくて」
「あー、俺も最初はアクセか雑貨屋さんかなぁと思った。木目調でお洒落だもんね」
「うん。‥‥入ったら入ったであいつも初対面なのに馴れ馴れしく話し掛けてきやがって。で、よくよく話聞いたらあいつと俺の母親、高校んときの同級生でさ」
「へぇー‥‥世間て狭いねぇ‥‥‥」
「ほんとな。‥そんなんもあって、ちょいちょいsilvitに出入りするようになって。俺には『ギターよりベースの方が似合ってそう』って云われて、少しずつあいつに教わって‥‥」
「店長から直々にベース教わるなんて、かなり贅沢だね」
「そうでもねぇよ。あいつ、結構テキトーだし。‥‥3年くらい前かな、人前で無理矢理演らされたりした」
「何、それ?」
「あいつが久々に『ステージ出る』っつーから、どんなもんか観に行ってやろうと思ってさ。いざ蓋開けてみたら当日俺に『弾け』っつってベース押し付けてきやがって」
「ふふっ、超~無茶振りだね!」
「マジでな。それまで人前で演ったことなんかなかったし、他のメンバーともその日初めて会ったってのにいきなり『合わせろ』って‥‥俺がコミュ障だって知っててそんなことやらせるとか、完全に頭イカれてやがる」
「でも、ちゃんと演ったんだね。‥‥そのときはさ、楽しかった?」
「‥わけわかんなかったしアガってたし、正直よく覚えてねぇ」
「そっかぁ‥‥アズでもアガるんだね」
「そりゃな。‥‥‥‥お前は、いっつも楽しそうだよな」
「うん。楽しい、ね。やっぱり」
「良いこっちゃ」
「‥‥ギター弾いてるとさ、ほんとにやなこと忘れられるんだ。気付いたら色んなの弾けるようになってて、もぉ毎日弾きまくってた」
「‥‥お前には、ギターが合ってたんだな。きっと」
「‥‥アズも似合ってるよ、ベース。店長の目に狂いはないね」
「‥‥‥‥そ?」
「うん。‥アズがベース弾けるって知ったとき、“背が高くて寡黙”ってイメージだったから余計そう思った」
「‥‥ふぅん」
「‥‥‥silvitでセッションしたの、覚えてる?」
「‥ああ」
「あんときね、ほんとにヤバかった。『もしこの音がバンドにあったら』って想像したら、ゾクゾクしてワクワクした。びっくりするくらい音ハマって、気持ち良過ぎて最高だった」
「‥‥俺も楽しかった。‥人と音合わせんのがあんな気持ち良いって、初めて知ったわ。‥‥なんか、変になってた」
「変にもなるよね」
「なるなる」
「ふふ‥‥アズがベーシストで、ほんと良かった」
「‥‥‥‥、もしベース弾いてなかったら、今頃もっとやさぐれてた。‥‥下手したら、もうこの世に居なかったかもしんねぇ」
「‥‥え‥」
「‥‥‥大袈裟かと思うだろうけど、この街来て我妻に会ってベース教わって、お前に会ってバンドやって‥‥‥‥『生きてて良かった』って、心の底から感じた。‥‥それまでは、そんな風に思ったことなくて‥や、ダチといるときは楽しかったけど、それ以外の時間‥‥独りでいるとき、ふとした瞬間に“堕ちる”っつーか‥‥‥生きてんのか死んでんのかもわかんなくなって、そんなことすらどーでも良くなって」
「‥‥‥堕ち、る‥‥?」
「‥‥‥‥‥俺な、刺されたとき結構出血酷くて、一週間くらい昏睡状態だったらしんだ。‥‥目が覚めて真っ先に、『何だ、死んでなかったのか』って思った。下らねぇ人生ならいっそ終わっちまえば良かったのに、って。‥‥下らなくすんのも楽しくすんのも自分次第なのにな。今考えたら、相当頭バグってた」
「‥‥‥‥、‥‥」
「‥‥今はそんなこと考えてねぇよ。‥ちゃんと、『生きてたい』って思う。大事なもんがいっぱい出来たし、お前もいるし」
「‥‥‥、‥‥ね‥‥」
「‥ん?」
「‥‥‥‥死んじゃ、やだ。何処にも、行かない、で。‥‥‥も、独りじゃない、から。俺じゃあんま頼りになんないかもしんないけど‥ちゃんと傍にいる、から」
「‥‥うん。何処にも行かねぇ。約束する」
「ん‥‥。‥あ。あと、無闇矢鱈と喧嘩とかしないで欲し、い」
「‥は?」
「‥‥俺らの為に喧嘩したり怒ってくれたのはすっげぇ嬉しいけど、‥もっと自分の身体大事にして欲しい」
「‥‥‥努力します。‥‥でも、この街来てマジな喧嘩したのって2回くらいしかねぇよ。リサんときと、そのあと一回。あとは多分、してねぇ」
「へ‥‥じゃ、初めて話し掛けたときのバンソコは?カナも、一年のときから顔中バンソコだらけだった、って‥」
「ああ‥なんか、絡まれること多くてな。“そういうオーラ”出てたんかも‥‥でも、手は出してねぇ」
「そうだったんだぁ‥‥でも、何で?それまでは普通に喧嘩してたんでしょ?なんか理由あるの?‥ま、しないで済むのがいちばんだけど」
「‥‥‥ダチと離れて喧嘩する理由もなくなったし、何より楽器始めたから。‥‥喧嘩なんかより、ずっと楽しいしな」
「楽器弾くのって、楽しいよね!」
「ん。楽しい」
「‥じゃ、尚更この手は大事にして。‥‥もし万が一また喧嘩することがあって、それが誰かの為だったとしても、アズには怪我して欲しくない」
「‥‥‥ほんとにやむを得ねぇときはやっちまうかもしんねぇけど、多目に見てくれる?」
「んん‥‥‥あんまそれもやだ。“うちのバンドのベーシスト”の前に、‥‥アズは‥大事な人、だから」
「‥‥‥‥、そっか‥‥そしたら、万が一のときでも誰も怪我しないで済む方法、一緒に考えて」
「そ、だね。うん‥みんなで、考えよ」
「‥‥‥‥俺もお前がいちばん大事」
「ん‥‥‥ありがと」
「‥‥こちらこそ。大事に想ってくれて、有難う」
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