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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 02/04/21:48

112 裸の付き合い

夕餉を終えた二人は、キッチンに並んで食器を片付けた
片付けが済むと菱和は煙草を一本喫い、序でにユーティリティにある給湯器のスイッチを点け、風呂を沸かす準備をした
程なくして風呂が沸いたことを報せる音が鳴り、菱和はユイを促す

「沸いたから、先入ってきな」

「え‥一緒じゃなくて、良いの?」

昨日から『一緒に入る』と云われていただけに、ユイはきょとんとした

「お前こそ、一緒で良いのかよ」

「‥‥、‥‥‥‥」

ユイは目を瞬かせ、少し顔を赤らめた
ちらりと菱和を見上げ、もじもじしながらポツリと呟く

「‥‥その手じゃ、不便でしょ。髪、洗ったげる」

傷だらけの菱和の手には絆創膏
不可能なわけではないだろうが、洗髪などをするには幾分か不自由だろうとユイは思っていた
『大した恩返しにはならないかもしれないが、自分にも菱和に出来ることをしたい』と、ずっと考えていた折の提案
菱和はユイの申し出を、快く受け入れた

「‥‥ん。じゃあ頼むわ」

 

二人は揃って脱衣所に向かう
菱和はさっと衣服を脱いだ
ユイも衣服はすぐに脱いだが、下は思いきって脱ぐことが出来ない
ふと顔を上げると、菱和の身体がある
ちらりと見えた下着
そこから覗く骨盤
しなやかな腕
筋肉質な肩や背中───妙に性的な魅力が漂う
同性であっても思わず目を見張るようなその魅力に、早鐘が鳴り止まない

───なんか恥ずかしいな‥‥俺、全体的にちんちくりんだし。アズが入ってから脱ごうかな‥あーもう俺諦め悪いなぁ。‥‥よし

覚悟を決めてユイがズボンに手を掛けたところで、菱和の背中に痣のようなものが幾つもあるのが目に飛び込んできた

───喧嘩で出来た傷、かな

大きな背中をじっと見ていると、菱和が振り返った

「‥‥ん?」

「‥んーん!何でもない!」

「‥‥‥‥ああ、背中?」

「‥‥喧嘩の、傷?」

「当たり。レンチかなんかでぶん殴られたときのかな」

「ぅえ、レンチって‥‥骨折れたりしなかった?」

「幸い、打ち身で済みました。‥ムカついたから速攻で伸してやった」

「相手が武器使ってても勝っちゃうんだ‥‥」

「凶器使わなきゃ喧嘩出来ねぇような奴にゃ、今でも負ける気しねぇわ」

硬派な菱和らしいポリシーだとユイは感心したが、菱和が徐に下着を下ろそうとし、途端にドキリとする

「‥‥‥‥なに、見たいの?‥‥やらしいな」

「っ違うよ!」

「‥‥そ」

からかうようにくすくす笑う菱和
ユイは、自棄糞になりながら漸く下着を脱いだ

 

***

 

浴槽に張られた湯は、白く濁っていた
ふんわりと、湯気から良い香りもする

「真っ白‥‥入浴剤?」

「ん。こんだけ濁ってりゃ、下半身も見えねぇだろ」

一人暮らし用のアパートの浴槽の広さなど、高が知れている
互いに配慮しようものの、どうしても肩が触れるほど密着してしまう
それでも、二人は何とか浴槽に浸かった
今まで、こうして密着することは何度もあった
ただ、衣服を纏っていた時とはまるで状況が違う
すぐ横にある菱和の生身の身体に、意識を散らそうとしてもどぎまぎしてしまう
ユイは、膝を抱えて小さく縮こまった

菱和は絆創膏が貼ってある手を浴槽の縁からだらりと垂らし、溜め息を吐いた

「熱くねぇ?」

「‥‥ちょうど良い」

「‥そ。‥‥‥‥で、なに緊張してんの」

菱和は垂らしていた腕をユイの肩に回し、自分の方に引き寄せた
二人の身体が、より密着する

「や‥‥な、‥」

「さっきからめっちゃ強ばってんのまるわかり」

「何でもない、よ‥」

「ほんとかよ」

菱和は顔を逸らすユイの肩に顎を乗せた
汗が吹き出す感覚がし、益々ユイの緊張が高まる

「も、何でもないってば‥!」

「云いたいことあるなら云えよ」

身体も、顔も、超至近距離
ユイは半ば自棄になり、声を張り上げた

「あ、アズが悪いんじゃんっ!そんな身体してるからっ!!」

「‥‥‥‥は?」

「っなんか、え、エロいんだよ、アズの、身体‥!」

ユイは顔を真っ赤にしてそう云った
菱和は思わぬ言葉にきょとんとする

「‥‥‥‥そう、か‥‥?」

「もおぉ‥‥ごめ‥俺、何云ってんだろ‥‥恥ずかし‥‥‥!」

ユイは恥ずかしさのあまり、手で顔を覆った
より身体を強ばらせ、萎縮する

何とか気持ちを鎮静化させようとしていた矢先、菱和は後ろからユイの身体を捕らえた
突然の行動にユイは慌てたが、湯の中でがっちりと、しかも後ろから抱かれた身体は自由が利かない

「っわ‥や、アズ‥‥」

「‥‥お前、人の身体に欲情してたんかよ」

耳元でボソリと図星を突かれ、身動きは取れず
背中には、菱和の身体がぴったりとくっ付いている
ユイの脳内はすっかり修羅場と化していた

「や、ちが‥‥‥くはないけどっ‥‥!‥なんか、ドキドキする‥‥」

「‥‥ふーん‥‥‥‥。‥‥、嬉しい。‥‥こんなんでも、そういう風に思ってくれてんなら」

消えない醜い傷が、幾つもある
その身体を、ユイは“意識する”と云う
菱和にとっては、喜ばしいことだった

「“こんな”って‥‥‥‥俺、すげぇ羨ましい、よ」

「‥‥どこが?」

「どこがって‥‥全体的に恵まれてるじゃん。背ぇ高いし、足も指も長くて。細いのに筋肉ついてるし‥俺はこれ以上大きくなれないし、筋肉もあんまないから羨ましい」

“ちんちくりん”な自分と恵体の菱和とでは、バランスが悪く不釣り合いだろうとユイは常々思っていた
それでも、菱和が弱い自分を受け入れてくれているように、ユイも菱和を丸ごと受け入れたいという気持ちでいる
傷だらけなことなど、関係なかった

“エロい”はさておき、“羨ましい”と思われているとは想像もしていなかったこと
その長身でガタイの良い見た目でだいぶ損をしてきた菱和にとって、これもまた嬉しい一言だった

「‥‥ふぅん」

ユイの素直な気持ちに、菱和は軽く笑む

 

「でもやっぱ、アズだから、なのかも‥‥‥‥」

ユイは小声でそう云い、鼻の辺りまで湯に浸かった
言葉の後半はぶくぶくと湯槽に消えていったが、菱和はそれを聞き逃さなかった

「‥‥今のもっかい云って」

「や、やだよ!恥ずかし過ぎる!‥一刻も早く忘れて!」

「云うまで離さねぇ」

「やぁだ!逆上せる!」

初めての“裸の付き合い”は、初めてにしては随分と長湯になりそうな予感がした

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