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ガレキ

BL・ML小説と漫画を載せているブログです.18歳未満、及びBLに免疫のない方、嫌悪感を抱いている方、意味がわからない方は閲覧をご遠慮くださいますようお願い致します.初めての方及びお品書きは[EXTRA]をご覧ください.

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  • 02/05/02:35

20 情緒纏綿

とある男子トイレで、ユイは鏡で自分の首筋を見ていた
ギターの弦で傷付いた赤い線の周りは内出血しており、痛々しくなっている
必死で鏡を覗き込み、焦った
 
「何だよこれ‥‥なんか赤くなってるし‥!」
 
「───触んない方が良いよ」
 
声がし、振り返ると、リサが突っ立っていた
 
「リサ。‥‥ここ、男子便だぞ?」
 
「知ってる。誰も居ないんだからそんなことどうだって良いし。ほら、これ。貼れば目立たないと思うから」
 
リサはポケットから絆創膏を取り出し、ユイに手渡した
 
「おお、サンキュ!‥‥てか、貼ってくんない?上手く貼れる自信ないや」
 
「‥‥はいはい」
 
リサはフィルムを剥がし、ユイの首筋に絆創膏を当てようとした
ふいに、その手が止まる
 
 
 
リサが見たそれは、明らかにキスマークだった
 
───あいつ、『舐めた』どころの話じゃないんじゃん!平然と嘘吐きやがったな‥‥次会ったら覚えてろよ
 
先程の菱和の不適な笑みが頭を過り、苛立ちが募る
今すぐあの顔面にパンチしてやりたいという衝動に駆られた
 
「リサ、まだー?」
 
ユイの声で、リサは我に返った
 
「‥ああごめん、今貼る。‥‥ちょっとはみ出るけど、これで何とかなるんじゃない。血はもう止まってるみたいだし」
 
「うん‥‥でもなんかちくちくするなー‥」
 
「自業自得だね。どうせ弦替えてなかったんでしょ?」
 
「さーすがリサ、良くわかったね!練習する時間考えたら、弦替える時間惜しくてさ」
 
「そ。‥‥もうそろそろ時間じゃない?」
 
「あ、ほんと!アリガト、助かった!ステージ観ててなー!」
 
リサはバタバタと走っていくユイを見送った
 
 
 
遠くに聴こえる声たち
まだまだ、学校祭は賑わっている
 
そういえばあいつ、どうしたかな
あいつもユイのステージ観に行くんだろうか
会いたくない、でも保健室に戻るのも嫌だ
取り敢えずカナを捜そうか───
 
リサはポケットから携帯を取り出した
カナにメールで連絡をしてみる
送信ボタンを押して携帯を仕舞うと、すっと廊下の窓を開けた
 
 
 
キスマーク
 
ただ、“あの男”がそんなものを付けてくるなんて到底予想外だ
友達という関係である筈なのに、そこまでする意味が全くわからない
それに、男が男にする行為としては不自然過ぎる
 
まさか、あいつは男が好きなの?それとも両刀使いってやつ?
ってか、そんなこと考えたくもないけど、ほんとにわけわかんない
ほんとに、深い意味がないとでも───?
 
「‥‥‥‥‥‥」
 
リサは、菱和がユイにキスマークを付けた真意を探るのを止めた
纏わり付く菱和の顔を、一刻も早く記憶から消し去りたかった
 
ユイは、恥ずかしいとか困ったとかそういうことではなく、単純に赤くなった首筋を気にしているだけだった
ユイが鈍感なのは、既にわかりきっていることだ
 
───キスマークの意味もわかってないんだから
 
朝とは別な意味で、頭が痛くなった
 
 
 
***
 
 
 
「───やっべ!」
 
体育館に入ると、既にステージが始まっていた
ステージ上では、カラフルな照明に照らされた5人の生徒がダブルダッチをしている
その生徒たちが何番目なのかはわからないが、もしかしたら自分たちの出番は次かも知れない
最悪の場合、終わってしまっているかも知れない
そう思い急いで体育館倉庫に行くと、順番を待つ生徒たちの中に拓真と上田の姿があった
ユイはほっとして二人に駆け寄った
 
「ユイー!ギリギリセーフだったな!」
 
「やーっと戻ってきたよ。何してたんだよ」
 
「ごめん!保健の先生居なくて、リサにこれ貼ってもらってた」
 
「あーそう。んとに‥‥危うくヴォーカルとギターがない地味な演奏するとこだったよ」
 
胸を撫で下ろす拓真の横で、上田はニヤニヤした
 
「別に俺はそれでも構わんかったけどねー。‥‥‥‥てかさ、それキスマークみたいじゃね?」
 
上田には、ユイの首筋に貼られた絆創膏が年頃の女子がキスマークを隠すのによく使う常套手段のように思えた
 
「え?何マーク?」
 
「いっちー、ユイに余計なこと教えないでねー」
 
拓真はスティックをくるくる回しながらユイと上田の間に然り気無く割って入った
“いっちー”は、上田の下の名前である“樹(いつき)”からくるあだ名
 
「余計なことって?」
 
ユイは拓真の横からひょこっと顔を覗かせ、上田に聞いた
拓真は更にそれを遮る
 
「お前はまだ知らなくて良いの!」
 
「何だよ!?子供扱いして!上田、何マークって云ったの?」
 
「キ・ス・マ・ー・ク!」
 
上田はにっこりと笑いながら、ゆっくりと云った
 
「上田くん?今俺が云ったこと聞こえてなかった?」
 
拓真は微笑みながら上田を睨んだ
 
「うわ、たっくんこえぇ。ユイ、あとでたっくんが居ないとこでゆーっくり教えてやるよ」
 
「駄目だっつーの!ずっと見張っててやっかんな!」
 
「やーだぁ、ひょっとしてたっくん俺のストーカーになりたいの?」
 
「誰がお前をストーキングするかっての。仮に俺が女だったとしてもこっちから願い下げだね」
 
「んなこと云って、俺のこと大好きでしょー?」
 
「離せ!鬱陶しいぃ!」
 
上田はふざけて拓真に絡んだ
 
ユイの場合は単なる怪我でやむを得ないことなのだが、拓真も上田と同様、場所が場所なだけに『首に貼られた絆創膏はキスマークを隠す為のもの』ということが真っ先に思い浮かんだ
敢えてそれを口にしなかったのは、リサと同じくらいユイの鈍感さと恋愛経験やそれに付随する知識の疎さを知っているからだ
自らの願望も含めて、純朴少年そのもののユイに余計な知識を植え付けて欲しくはないと思っていた
 
ユイは『キスマーク』と聞いてもいまいちピンときていない様子だった
じゃれ合う拓真と上田を見て首を傾げ、唇を尖らせ、釈然としないままステージに上がることになった
 
 
 
ステージ前には、観客もとい生徒が沢山居た
上田は女子生徒にそれなりの人気があり、黄色い声援に手を振って応えている
それぞれ楽器とアンプを繋ぎ、拓真は椅子やスネアの調節をする
 
「えーと。これからやる曲は、多分みんなも一度は耳にしたことがあるようなやつです!良かったら一緒に歌ってねー!」
 
上田がMCを入れると、女子生徒たちの悲鳴に似た歓声が飛ぶ
 
ユイと上田は揃って拓真に目配せをした
それを確認した拓真は、カウントを始める
 
観客に見守られながら
3つの音が、動き出す

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