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8 コンビニにて
ユイと拓真は度々、通学中にコンビニに立ち寄ることがある
大体がユイの昼食を購入する為に寄るのだが、真夏の暑い日は涼みに、真冬の極寒の日は暖をとる為に入店することもある
この日も、2人揃ってコンビニに立ち寄った
入店するや否や、ユイは大ファンである洋楽バンドのライヴDVDに、これまた大ファンである海外のギタリストがオーディエンスとして中に紛れているシーンがあることを必死に拓真に説明する
「えー?ほんとかそれ?俺も暗記しちゃうほど観たけど、そんな記憶無いんだよなー」
「ほんとだって!ほんとに映ってんだから!」
「マジかよー?ただの見間違いじゃないの?」
「何だよ!信じてないなら今日帰ったらDVD観よ!あれ絶対そうなんだから‥‥」
ああでもないこうでもないと話しながら、ユイはショーケースに並んだペットボトルのドリンクに手を伸ばした
それはユイのお気に入りの桃フレーバーの紅茶で、最後の1本だった
ユイが手に取るよりも先に、横から誰かがその最後の1本を手に取った
思わずユイが叫ぶ
「あっ!俺のジュー‥─────」
ユイが横を見ると、かなりラフに着崩された、自分と同じ制服が目に写った
しかし、ユイの身長では、ぱっと横を見ただけでは顔が確認できないほど長身の生徒だった
ゆっくりと見上げると、無表情にユイを見下ろす菱和の顔があった
「───ス‥‥」
買おうと思っていたドリンクを手に取った途端に『俺のジュース』と宣言され、菱和は戸惑う
数秒間、固まる二人
伸ばしかけていたユイの手に、徐にペットボトルの感触が伝わった
菱和からペットボトルを受け取るも、ユイにはその意図が把握出来ないでいる
「菱、和‥‥あの」
「‥美味いよな、それ」
そう云うと、菱和は別のペットボトルを持ち、颯爽とレジへ向かった
「‥よう」
「お、おはよ」
すれ違う拓真に軽く挨拶をし、会計を済ませると、さっさと店内から出ていった
菱和が歩いた後に、ふんわりと香水の香りが漂った
クラス発表のときに、春の風と共に香った匂いと同じだった
その姿を見送ってから漸く、ユイは菱和がドリンク譲ってくれたのだと理解した
「貰っちゃった‥‥最後の一本なのに」
「良かったな。お前それ好きだもんな」
「‥‥優しんだね、菱和って」
「益々、見掛けに寄らないなー」
菱和と関わりを持つようになって2週間
まだまだ謎の多い人物だが、菱和には見掛けに寄らず優しい一面があると、ユイと拓真の頭にしっかりとインプットされた
ユイは譲って貰ったドリンクの会計を済ませようと、足早にレジへと向かった
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